IAEA 天野前事務局長の追悼式典
IAEA(=国際原子力機関)では21日、先月急死した天野之弥前事務局長を追悼する式典が開かれ、各国のIAEA大使や職員など、600人あまりが任期半ばで亡くなった天野氏の死を惜しんだ。
追悼式典は、数分間の黙とうではじまり、10年近くIAEAのトップを務めた天野氏の業績がビデオで紹介された。
また、天野氏の側近だったフェルータ事務局長代行が追悼の言葉を述べ、天野氏がイランの核合意交渉の舞台裏で様々な働きかけをしたことを紹介した。その上で「分析力に優れ、物事を数歩先まで考えながら対応していく希有な能力があった」「我々はまだ天野氏がこの世にいないことが考えられない」などと、その死を惜しんだ。
さらに日本の北野大使は、天野氏は加盟国の要望に寄り添う「ビジョンを持ったリーダー」だったと述べたほか、原子力科学技術を広く加盟国に提供することを推し進めた天野氏の姿勢が、IAEAの中で「対立よりも協調の機会を話し合う新しいダイナミズムを生んだ」と称えた。
「核の番人」と言われるIAEAだが、原子力技術の平和利用を推進した天野氏のビジョンを高く評価した形。