韓国・文大統領から安倍首相に“親書”
悪化している日韓関係に展望が開けない中で、安倍首相と韓国の李洛淵首相が会談した。会談で李首相は、文在寅大統領からの親書を手渡した。そこには、どんなメッセージが記されていたのか。
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24日午前、笑顔で安倍首相と握手をしたのは、韓国の李洛淵首相。安倍首相との会談はおよそ1年ぶり。
いわゆる元徴用工訴訟の問題などをめぐり、意見交換し、安倍首相は「国と国との約束を順守することにより、日韓関係を健全な関係に戻していくきっかけをつくってもらいたい」と伝えた。
これに対し、李首相は「両国が知恵を集めて難関を克服していけるものと信じる」などと述べたという。
そして、注目されていたのが、関係改善に向けた文在寅大統領の「親書」。
Q.親書は渡された?
韓国・李首相「そうです」
Q.どのような内容?
韓国・李首相「それはわかりません」
韓国政府関係者によると、親書には「両国間の懸案について早期に解決されるように、お互い関心を持って努力していこう」などと書かれていたという。
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天皇陛下の即位礼正殿の儀に参列するため来日した李首相。韓国紙「東亜日報」の特派員として日本に駐在経験があり、日本をよく知る知日派として知られている。
日韓関係が悪化する中で日本への厳しい発言もしていたが、今回は日本の世論を意識してか、文化交流を重視した日程を組んでいる。
日本人の学生と交流した際には、学生たちにこう語りかけた。
韓国・李洛淵首相「今日の日韓両国の問題は、過去にも生じたことがある問題なので、対話を通じて解決できると思っている。(金大中元大統領は)50年にも満たない不幸な歴史によって、1500年の友好関係に傷をつけるのは愚かなことであると言われた」
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関係を好転させたいように見える李首相。その背景にはある理由があるという。
一つは経済への影響。
韓国では、各地の空港で日本路線の搭乗率が激減。航空のサイトで日本と韓国の料金を検索すると、最低料金は3000円からと、非常に安い値段が並んでいる。
韓国メディアによると、南部の務安空港では、日本に向かう全路線が運航停止に追い込まれる事態に。韓国の航空会社が日本行きの航空券を低価格で売り出すなど、韓国企業に打撃を与えている。
もう一つの理由は、韓国が破棄を決定したGSOMIAの終了が来月22日に迫っていること。
アメリカが強く継続を求めていることに加え、韓国国内でも国防省トップから公然とGSOMIAの重要性を指摘する声が上がっている。
韓国側としては、日本が韓国への輸出管理を元に戻すことと引き換えに、GSOMIA継続も模索しているとみられる。
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韓国政府関係者は今回の訪日について、「対話を促進する雰囲気を作る」という目標は達成できたとしているが、日本の外務省幹部は「日本は日本の立場を言い続ける」と話していて、文大統領との首脳会談が実現するかは不透明。