両首脳が対話も…日韓関係、雪解けは不透明
タイを訪問している安倍首相と韓国の文在寅大統領は、4日、11分間の対話を行った。ただ、これで悪化した日韓関係が雪解けに向かうのかは、依然不透明だ。
韓国側によると、今回の両首脳の対話は、会議の控室で、文大統領が安倍首相に「座って話し合おう」と促す形で急きょ行われた。韓国大統領府の関係者は、「誰も予想できなかった瞬間だった」と明かし、あらかじめ想定された対話ではなかったと驚きをみせた。
両首脳は、外交チャンネルを通じた話し合いで、実質的な関係改善の方法が導かれることを希望した上で、文大統領は、必要ならばよりハイレベルの協議を行うことを提案したという。
最近になり、韓国側は日本との対話を模索する方向にかじを切った。理由の1つは、今月22日夜に失効が迫っている軍事機密を共有するための協定=GSOMIAについて、アメリカが韓国に強く継続を迫っていること。
およそ1週間前、韓国大統領府のある関係者は、「韓国がGSOMIA破棄を見直す代わりに、同時に日本は輸出管理を元に戻せないのか」と焦りをのぞかせた。
ただ、日本側は、まずは元徴用工の問題で韓国側が対応策を示すべきとの姿勢で、4日も安倍首相はこの原則的な立場を文大統領に突きつけた。
およそ1年ぶりに両首脳が直接ひざを突き合わせて対話を行ったことは一歩前進と言える。ただ、根本的な問題では、双方がいわば互いの譲歩を待っている状態で、両首脳の政治決断なくしては前進は難しいと言える。