天皇陛下「国民に寄り添う」原点…英国秘話
いよいよ4日後、即位のパレードに臨まれる天皇陛下。1983年から2年間、イギリスのオックスフォード大学に留学されていた。この時の経験は、ご自身が描く「天皇像」のもとになったと言われている。どのような生活を送られていたのだろうか。
◆ホームパーティーに招かれ「よく笑って」
NNNが訪ねた、ロンドン郊外に住む1人の女性。あるものを見せてくれた。
──ご家族の都合が良いときに、ぜひ訪問したいと思います。
これは、浩宮さまと呼ばれていた頃の天皇陛下が書かれた直筆の手紙。1984年の2月、オックスフォード大学に留学されていた陛下は、ボンソールさんの自宅で開かれたホームパーティーに招かれたという。滞在中はビリヤードなどを楽しまれた。
ボンソールさん「陛下はよく笑っていらっしゃいました」
2年間にわたる外国での生活。陛下は日本とは異なる環境で様々な経験を重ねられた。
◆「国民に寄り添う」お考えは、イギリスでの経験が…
先月22日の『即位礼正殿の儀』、天皇陛下は「国民に寄り添う」と宣言されたが、このお考えのもとになったのがイギリスでの経験だった。
ロジャー・ベーコンさんは、陛下が留学中に警護官を務めた。陛下としばしば訪れたのがこちらのパブ。
ロジャー・ベーコンさん「陛下にイギリスのビールを教えました。とても気に入られたようでした」「日本での生活とは全く違うものだったと思います。他の学生と同じようにショッピングやパブに行くことができたのです」
時にはディスコに行き、陛下がジーンズをはかれていたために入店を断られたこともあったという。
そして、ベーコンさんは陛下のある“姿勢”が強く印象に残っていると語る。
ロジャー・ベーコンさん「とても好奇心が旺盛でした。あらゆることを知ろうとされていました」
知らない店や新しい場所に進んで足を運び、あらゆることを積極的に吸収されていたという。
ロジャー・ベーコンさん「ここでの時間は、日本の国民に対してよりオープンに入り込んでいこうとされる陛下のお考えを強めたに違いありません」
◆天皇陛下がたどりつかれた答え
留学を終えた際、陛下は次のように述べられた。
天皇陛下(ご帰国前の会見 1985年)「一番必要なことは、国民と共にある皇室、国民の中に入っていく皇室であると考えます」
天皇としてどうあるべきか。上皇さまは「国民と共にある皇室」を常に意識されてきた。
天皇陛下がその考え方を継承しつつイギリスでの経験も踏まえてたどりつかれた答えが、“国民の中に入っていき、国民が何を望んでいるのか認識する”ということだったのではないだろうか。
その言葉通り、陛下は国民に寄り添い、国民とのふれあいを大切にされている。