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“ガザ”停戦合意、守られる? 戦闘続くイスラエルとハマス…停戦と人質解放は「3段階」に分けて 楽観視できない状況も【#みんなのギモン】

2025年1月16日 20:34
“ガザ”停戦合意、守られる? 戦闘続くイスラエルとハマス…停戦と人質解放は「3段階」に分けて 楽観視できない状況も【#みんなのギモン】
アメリカのバイデン大統領は日本時間の16日朝、イスラエルとイスラム組織ハマスが、停戦と人質の解放に合意したと発表しました。ただ、2023年11月の戦闘の一時休止と人質解放では合意後にイスラエル側が「ハマスによる攻撃があった」などとして戦闘が再開していて、今回の停戦が順調に始まるかは予断を許さない状況です。

そこで今回の#みんなのギモンでは「“ガザ”停戦合意守られる?」をテーマに解説します。

■停戦合意…バイデン大統領「戦争の恒久的な終結を望む」

小林史・日本テレビ解説委員
「パレスチナ自治区のガザ地区で激しい戦闘を続けてきたイスラエルとイスラム組織ハマスが、停戦と人質の解放に合意したというニュースが伝えられています」

「アメリカのバイデン大統領は、イスラエル軍とハマスがパレスチナ自治区のガザ地区での戦闘を停止し、拘束されている人質を解放することに合意した、と明らかにしました。このまま進めば、停戦は1月19日から発効する見通しです。バイデン大統領は『戦争の恒久的な終結を望む』としています」

鈴江奈々アナウンサー
「これまで停戦に向け長い交渉があったものの、1年2か月ほど戦いが続いています。本当に最終的な終結に向かうのか、とても気になります」

小林解説委員
「そこが大きなポイントです。実際にこの停戦合意は本当に守られるのか? まず、改めてこの合意に至るまでをおさらいします」

■中東情勢これまでの経緯…発端はハマス側による奇襲攻撃

小林解説委員
「ことの発端は、いまから約1年3か月前の10月7日。ハマス側がイスラエルの音楽フェスティバルなどに仕掛けた『奇襲攻撃』でした。この攻撃で約1200人のイスラエル人が殺害され、多数が人質としてハマス側に捕らえられたため、イスラエルは即座に報復攻撃を開始します」

「ガザ地区で続けられている1年以上にわたる攻撃によって、これまでに4万6000人を超える人が亡くなっています。ただ、この死者数はあくまでガザのハマス側が出している情報で、実際には7万人を超えているという、ロンドン大学の推定もあります。さらに年齢と性別が判明している中では、半数以上が女性や子ども、高齢者だということです。また、ガザ地区では約9割の住民が家を追われ飢餓状態に陥っているんです」

森圭介キャスター
「民間人や武器を持っていない守られるべき人たち…結局犠牲になっているのは女性や子どもが多いということに胸が苦しくなります」

桐谷美玲キャスター
「これまでも停戦は実現しなかったからこそ、今度こそ守られてほしいと思います」

■“停戦”実現する? 前回の合意との違いは…

小林解説委員
「そうですね。2023年の11月に両者は一度『戦闘休止』に合意しましたが、この時は、人質の解放などが順調に進まず、わずか7日間で再び戦闘が始まってしまいました」

「ただ、この時はあくまで一時的な『戦闘の休止』でしたが、今回は『恒久的な戦争終結に向けた停戦合意』だと、アメリカのバイデン大統領は強調しています。つまり、合意が守られるか別として、戦闘の終わりに向け、新たな局面を迎えたことは間違いないといえると思います」

■「3段階」に分け…停戦と人質解放、実現へ

小林解説委員
「今回の停戦合意は、大きく『3段階』に分かれています」

「まず『第1段階』として『6週間』と期間が設定されました。第1段階ではまず『人質の解放』が行われます。ハマス側が捕らえている人質は、98人とされています。そのうち33人が解放されます。まずは女性と負傷者から。引き換えに、イスラエルが刑務所に収容しているパレスチナ人、数百人が釈放された上で、イスラエル軍がガザ地区の『人口密集地』から撤退するとしています。そして、この間に『第2段階』に向けた交渉が行われます。第1段階の期限は、3月2日ですが、交渉が続く限り、停戦は延長されるとしています」

「『第2段階』は、男性の兵士を含む残りの人質全員の解放と引き換えに『イスラエル軍のガザ地区からの完全撤退』が含まれます。こうなると、一時的な停戦が恒久的なものとなる、とされています」

「そして『第3段階』は『殺害された人質の遺体』が家族のもとに返還され、その後、ガザ地区の大規模な再建計画、つまり『復興』が開始されるとしています」

忽滑谷こころキャスター
「段階的に計画をして…ということですが、本当に合意が守られるのかが一番気になります」

小林解説委員
「そうですね。第1段階の6週間の停戦合意が守られるのかすら、現時点では楽観視することはできません」

■停戦合意後にイスラエルによる空爆も

小林解説委員
「この停戦合意の発表を受けた声明でハマスは『ガザ地区における勇敢な抵抗の成果』だと誇ってみせる一方で、イスラエル側はまだ具体的な声明は出しておらず、『(停戦合意の)枠組みのいくつかの項目はまだ最終決定されていない』としています」

「また、ロイター通信によると、この停戦合意があったあとに、ガザ地区の各地でイスラエルによる空爆があり、ガザ市で32人が死亡したということです。まだ停戦は発効していないので攻撃は続いているということなんです」

鈴江キャスター
「第1段階から第3段階まで、アメリカが描いたものをベースにいま、合意に至っているわけですが、大国の政治合戦、アピール合戦にならないよう、本当にみなさんのもとに平和が訪れてほしいと思います」

小林解説委員
「ガザ地区では、今年に入ってからも暖かい避難場所がなく、低体温症で命を落とす幼い子どもが相次いでいるといいます。1年以上にわたる戦闘で傷ついた人々の多くは何の罪もない民間人です。恒久的な平和に向けて確実に合意を実現していくことが求められます」

(2025年1月16日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

【みんなのギモン】

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最終更新日:2025年1月16日 20:38