【解説】韓国で“塩騒動”…原発処理水で「汚染」不安? 韓国政府「怪談のような情報」 冷静な判断呼びかけも…
韓国の一部のスーパーでは売り場の棚が空になるなど、“塩騒動”が起きています。背景には、まもなく始まる予定の日本の福島第一原発の処理水の海洋放出が関係しています。
●塩売り切れのスーパーも
●キムチに影響…不安
●日本の塩は大丈夫?
以上のポイントを中心に詳しく解説します。
福島第一原発にたまる処理水は、環境基準を大幅に下回るまで薄めた上で、今年の夏ごろに海への放出を開始するというのが日本政府の方針です。今月12日には設備の試運転も始まり、東京電力は近いうちに設備の準備を完了させる見通しです。
このニュースはお隣の韓国でもトップニュースとして報じられ、大きな関心が寄せられています。
これを受け、福島県の内堀知事は19日の会見で「処理水の受け止めは各国・各地域によって異なっている。韓国においては尹錫悦大統領と岸田総理が直接会談をしてから状況が変化しつつあるが、まだ予断を許さない状況」と述べました。
つまり、政府などが処理水の安全性を世界に向けて説明しているものの、まだ、正確に伝わりきっていなくて不安を感じている国もあるというのが現状です。
日本で処理水放出の準備が進む中、韓国では意外な現象が起きていました。
ソウルの大手スーパーで20日に撮影された写真では、袋入りの塩などが並んでいたところが空になっています。「塩 1人1個まで」との表示も確認できます。NNNソウル支局の記者も大手スーパーを2店舗回りましたが、袋入りの塩はほぼなかったということです。
韓国では今、“処理水の海洋放出前に海水から作られる塩を買っておこう”という動きが起きているようです。実際、20日午前、ソウルで街の人に話を聞くと、「不安ではありますよね、大騒ぎしてるから。(買おうとしても)塩がなかったんですよ。全部売り切れでした」「深刻ですよね。だめですよ。国民の食に一番欠かせないのが塩なのに」といった声が聞かれました。
一部の大手スーパーでは塩がなかったものの、商店街などではまだ売っている店もありました。ただ、その店でも産地が塩を十分に売ってくれず、入手には苦労しているようです。
実際、韓国の塩の産地で生産業者を取りまとめる団体に話を聞くと「注文が増えていて、完売になっている。こんな状況は珍しい」と話していました。