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【解説】小泉悠氏に聞く キーウ攻撃はイラン製ドローン? イランがロシアに兵器提供か

2022年10月18日 23:06
【解説】小泉悠氏に聞く キーウ攻撃はイラン製ドローン? イランがロシアに兵器提供か

キーウへの攻撃に使われたドローンについて、ウクライナ当局は、イラン製の自爆型ドローンだとしている。イラン製のドローンが使われたとすれば、その背景に何があるのか専門家に聞いた。

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■キーウ攻撃のドローンの正体は?

ウクライナは、今回、キーウへの攻撃に使われたのはイラン製の「シャヘド136」だとしている。弾頭を搭載でき標的をめがけ急降下し、体当たりして爆発させる自爆型のドローンだ。

ただ、イランは、ロシアに対していかなる武器供与も行っていないとして、イラン製のドローンであることを認めていない。


■なぜドローンを使用?

今回、自爆型ドローンを使ってキーウを攻撃したロシアの狙いについて、東大先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠氏は「撃てるミサイルの数が限られる中、これまでのペースで高価なミサイルを撃つことはできない。そうした中でイラン製の比較的安価で大量に手に入るドローンを使い始めたのではないか」と指摘する。

さらに、「東部や南部などではウクライナ側に押されて戦果があがっていない、そのことへの報復がしたいのではないか。しかし、軍事的、戦術的な意味での効果はない。民間人を狙っていることからテロ行為に近い」


■ロシア・イランの思惑は?

イランがロシアにドローンを供与したとすれば、その背景に何があるのか。

小泉悠氏は、「イランは、核開発疑惑で国連安保理から武器取引を禁じる制裁を受けていたが、これが解除され、武器取引ができるようになった。今後のロシアとの武器取引も見据え、ロシアにとって役立つものを提供しておくという意図があったのではと思われる」と語る。

イランがロシアへの武器供与を否定していることについて、小泉氏は「ウクライナに侵攻したロシアへの国際社会の圧力が高まっている中、ロシアへの武器供与を認めるのは容易なことではない。イランとしては、ロシアの側について参戦したとみられたくないという思いがある」とする。

一方、ロシアについて小泉氏は、「ヨーロッパの武器見本市などでは、イスラエルなど中東の企業が大々的にドローンを展示している一方で、ロシアの武器見本市で並んでいるものを見る限り、ドローンに熱心であるという印象は受けなかった。おそらくロシアは自爆型ドローンを大量に生産してこなかったのだろう。今、ロシアへの制裁が強まる中でロシアにドローンを提供してくれる国がイランだけだったということだろう」と分析する。