天体で資源開発ルール協議 国連会議始まる
世界各国や企業による宇宙への進出を目指す動きが活発化する中、惑星などでの資源開発をめぐるルールについて協議する国連の会議がオーストリアで始まりました。
先月31日から開かれている国連・宇宙空間平和利用委員会の法律小委員会は、新型コロナウイルスの影響で2年ぶりの開催となりました。最大の焦点は惑星など天体での資源開発をめぐる扱いです。
2020年代に月の資源開発を目指すアメリカは国際的な合意形成ができる前に活動をはじめることになりかねず、宇宙空間の探査や利用の原則などを定めた宇宙条約の加盟国の間では、惑星などの資源開発をめぐるルールの整備を求める声が高まっています。
会議初日には、まずドイツなどヨーロッパ各国が5年かけて資源開発に関する国際的な合意形成を積極的に目指す提案をしました。
しかし、先進国のペースで議論が進むことを警戒する途上国側は、「宇宙資源は皆のものだ」と主張し、先進国を牽制しました。
また中国は、アメリカが日本やヨーロッパ各国と結んだ月開発に関する合意について取り上げ、国連の枠組み外での動きに懸念を示しました。
国連・宇宙空間平和利用委員会で日本人として初めて議長役を務める慶應大学の青木節子議長は、各国の立場に隔たりがある中で、国際法に従った秩序ある宇宙開発を進めるためには、今回の会議を通して、具体的なルール作りの場となる作業部会を発足させられるかどうかがカギだとしています。