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韓国“メディア懲罰”法案 野党ら強く反発

2021年8月20日 14:23

韓国の国会では、与党が提出したメディアへの懲罰的な損害賠償を含む法案が委員会を通過し、来週にも可決・成立する見通しです。メディアや野党は強く反発しています。

韓国の与党「共に民主党」が国会に提出した「言論仲裁法」の改正案が、19日、野党が反対する中、採決され、文化体育観光委員会を通過しました。法案は故意と重過失による虚偽や歪曲された報道によって不利益を受けた場合、メディアに最大で損害額の5倍の賠償請求ができるようになるものです。

また、誤報には訂正報道を義務付け、少なくとも誤りがあった報道と同じ時間や分量を割いて訂正する必要があります。さらに、問題となった報道が閲覧できないように請求できる権利も盛り込みます。

与党側は「フェイクニュースから被害者を保護する趣旨だ」としていますが、野党側は「表現の自由が損なわれる」と反発しています。韓国メディアも対象となる虚偽や歪曲報道の基準が曖昧で、「言論に猿ぐつわをかける法律」だと強く批判。韓国に駐在する外国メディアが加盟するソウル外信記者クラブ(SFCC)も20日、「今まで韓国が築いてきた国際的なイメージと自由な言論環境が後退する危機に陥った」などと懸念を表明しました。

韓国の国会は与党系が議席の過半数を占めていて、法案はさらに法制司法委員会での審議を経た上で、早ければ25日の本会議で可決・成立する見通しです。