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アフガン出身女性タリバンに伝統衣装で抗議

2021年9月25日 15:15
アフガン出身女性タリバンに伝統衣装で抗議

#DoNotTouchMyClothes、#AfghanistanCulture。アフガニスタン出身の女性たちが、服装を制限するタリバンに対して、SNS上で抗議活動を行っています。抑圧には決して屈しない。強い思いが広がっています。

■伝統衣装は私のアイデンティティー

アフガニスタンの伝統的な衣装はとてもカラフルで、とても鮮やかです。現在ノルウェーに住む私や、国外に住むほかのアフガン人もそうだと思いますが、結婚式や特別な日に伝統衣装を着ることが多いでしょう。

私の知る限り、アフガンの人々は今でも伝統的な服を着ています。その形は様々で、色が淡いものもあれば、よりモダンなものもあります。また、都市部を離れて農村部に行くと、カラフルな衣装の下にパンツや大きなスカートを履いている人を見かけることがあります。

アフガンの衣装を着るのは、私のアイデンティティーであり、タリバン暫定政権がアフガン女性に課したドレスコードに抗議するためです。

タリバンが実権を握ったことは、とても重苦しいことです。私はまだそれを受け止められていません。彼らは政府の宮殿に座っているかもしれませんが、国民を支配できているわけではありません。カンダハル、カブール、ヘラート、マザリシャリフでは、今でも抗議活動が続いています。

アフガン女性は自分たちの権利のためにまだ闘っています。問題なのは、彼女たちの抗議活動が大手メディアで報道されていないことです。ご存知のように、ジャーナリストのほとんどはすでに国外に脱出していて、残った者には報道の自由がありません。


■“徒歩での越境”望んで国を離れたわけではない

私の父はタリバンのせいで国を離れざるを得ませんでした。望んだわけではありません。誰も最期の瞬間に飛行機にぶら下がって命を懸けるようなことをしたいわけではありません。何らかの理由で祖国を離れざるを得ないのです。

両親はともにアフガンの共産主義政権に仕えていました。かつてタリバンが国を支配した時、タリバン兵が父を捜して家のドアをノックしていたのを覚えています。私は子どもでしたが、母が家にあったすべての武器となるものを埋めようとしたり、可能な限り隠そうとしたりしていたのを覚えています。もし母が政府のために働いていたことが知られたら、その場で殺されていたでしょうから。

父は2000年にノルウェーに来ました。私たち家族は父と再会するまでの約5年間アフガンに残されていました。家族はパキスタンまで徒歩で移動し、国境を越えて最寄りのノルウェー大使館にたどり着きました。その旅のことを思い出すだけで、とても怖くなります。多くのアフガン人が安全を求めて国境を越え、命を危険にさらしていたのです。


■アフガン女性は20年前とは違うとタリバンは知るべき

タリバンはすでに女性問題省を閉鎖しています。女性は中等教育を受ける権利がなくなり、全身を覆う服を着て、顔も隠さなければなりません。これは、女性を社会から完全に排除しようとしているのだと思います。女性をドアの向こう側に閉じ込めたいのだと思います。

私が言いたいのは、アフガンの女性は変わったということです。自分たちの権利を認識し、権利のために闘っています。タリバンは20年前と同じかもしれませんが、今日のアフガン女性は20年前のアフガン女性とは違うということを知る必要があります。

かつてタリバンは、女性を社会の表舞台から完全に排除することに成功しました。しかし、アフガンの女性は常に自分の居場所を持ち、闘ってきました。

旧タリバン政権下の女性政治家であるシュクリア・バラクザイの話をすると、彼女は実際に女性たちと一緒に活動し、女性が自分のためにどうやって立ち上がるか、権利のためにどうやって闘うかについての情報を発信していました。タリバン政権下でも、自分たちの権利のために闘い続けてきた勇敢なアフガン女性たちがたくさんいます。声を上げ、暴力にさらされましたが、彼女たちは諦めませんでした。

私の姉を例に挙げると、彼女は13歳の時にタリバンの息子と強制的に結婚させられました。15歳で最初の子どもを産みました。彼女には子ども時代がなく、学校に行くことすら許されませんでした。その後、さらに子どもを産み、社会に参加することは一切できませんでした。

しかし、この20年の間に立ち直ることができました。タリバン時代に権利を奪われていた多くの女性たちが、様々な面で変化し、自分たちの権利を意識するようになったことを示す事例です。

国際社会は声を上げ、調査する必要があります。国連はアフガンで起きている多くの人権侵害について調査する必要があります。私は、基本的人権が奪われているのに世界が黙って見ていると思い孤独を感じているアフガン人の気持ちを代弁したいと思っています。

(NNNバンコク支局 杉道生)

「アフガンからの声#7」

画像:アフガン出身のソフィアさん(25)Sophia Moruwat