【解説】イスラエル軍、ヒズボラ拠点を空爆 大規模攻撃の狙いは
イスラエル軍は23日、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの拠点を標的に大規模な空爆を行い、これまでに492人が死亡したということです。元カイロ支局長の富田徹国際部デスクに聞きます。
――かなり大規模な攻撃ですが、イスラエルの狙いは。
イスラエルを射程に収めるミサイルなどの壊滅を狙った作戦とみられます。
ヒズボラは中東の武装組織の中でも軍事力はダントツで、十数万発のミサイルやロケット弾をもっているとされています。これに打撃を与える狙いです。
レバノンでは攻撃前、市民たちの携帯電話に、一斉にメッセージが届きました。
イスラエル軍が市民らの携帯を特定して送ったとみられるのですが、「ヒズボラの武器庫を攻撃するから離れろ」と警告する内容で、避難車両が大渋滞するなど混乱もおきています。
――イスラエルは現在、ガザにも侵攻していますが、なぜさらに敵を増やすような攻撃に踏み切ったのでしょうか。
ガザで「うまくいっていないから」という見方もあります。
イスラム組織ハマスの襲撃からまもなく1年になりますが、人質解放は達成できず、国内では「政権は何をしているんだ」という声が高まっています。
こうした中、目にみえる成果を挙げられるのが、別の戦場に手を広げることで、ヒズボラに対して先のポケベル爆破や今回の空爆を仕掛けることで戦果をアピールして国内の不満をかわす狙いもあるとみられています。