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“耳にガーゼ”で連帯感? トランプ陣営が「不法移民対策」非難 国境の現状は…

2024年7月18日 21:32
“耳にガーゼ”で連帯感? トランプ陣営が「不法移民対策」非難 国境の現状は…

アメリカの大統領選挙に向けた共和党大会は3日目、トランプ前大統領の勝利に向け結束を呼びかける演説が相次ぎました。銃撃事件後、勢いに乗るトランプ陣営がバイデン大統領への攻撃材料としているのがアメリカに流入する不法移民の問題です。その現場を取材しました。

共和党大会3日目も会場に姿を現したトランプ前大統領。銃撃事件で傷を負った右耳には、ガーゼが付いたままですが、笑顔で大歓声に応えました。トランプ氏との連帯を示すためでしょうか、耳にガーゼをあてた支持者の姿も見られました。

会場では、トランプ氏が副大統領候補に選んだ、バンス上院議員が受諾指名演説を行いました。

共和党・副大統領候補 バンス上院議員
「民主党は、何百万人もの不法な外国人をアメリカに流入させた」

トランプ氏が長年掲げてきた不法移民対策の強化を訴え、バイデン政権を痛烈に非難しました。

   ◇

11月の大統領選挙で、大きな争点になっている“不法移民対策”。私たちは、その最前線である、アメリカ・カリフォルニア州南部の国境の町に向かいました。

橋本雅之記者
「アメリカとメキシコの国境では連日、不法移民の流入が続いていまして、いまも国境警備隊によって次々と身柄を拘束されています」

これが、不法移民の流入が続く国境の“日常”です。去年、拘束された不法移民は、250万人以上。3年連続で過去最多を更新しています。

かつては、中南米系が中心でしたが…

不法移民
「トルコから来ました。経済的な理由です」

不法移民
「エジプトから来ました。学校に通うためです」

民主党のバイデン氏が大統領に就任して以降、寛容な移民政策への期待が高まり、世界中から不法移民が訪れる事態となっています。

これに対し、厳格な国境管理を掲げる共和党のトランプ氏は、バイデン大統領を痛烈に批判。

トランプ前大統領
「(バイデン政権は)アメリカを破壊している」

高齢不安で「選挙戦から撤退すべき」との声が高まるバイデン大統領が、トランプ氏に対抗しようと打ち出したのが、国境管理を厳格化し、事実上の“国境封鎖”を可能にする大統領令です。

バイデン大統領(先月)
「不法に南部国境を越える移民の亡命を禁止する措置を発表する」

大統領令が出された2日後に、国境を訪れてみると──

記者
「国境のメキシコ側に、不法移民を移送する業者の車が到着しました」

国境の壁の隙間からアメリカ側の様子をうかがう、不審な2人組の男。密入国をあっせんする、メキシコの業者とみられます。

国境警備の動きを警戒しているのか、双眼鏡を使って念入りに偵察を続けていましたが、その直後──

記者
「いま、壁の奥、メキシコの業者によって、大勢の不法移民が移送されてきました。これから、アメリカへと入国してきます」

記者
「走ってますね。不法移民らが走って、アメリカの方へと向かってきます」

当局の目をかいくぐり、走って入国してくる人々。幼い子どもの姿もありました。

    ◇

国境周辺では、“バイデン氏の大統領令は、抜本的な解決策にはならない”という声が相次いでいます。

国境周辺の住民
「無意味なことだ。彼(バイデン氏)は選挙のために、国境について何かやっているかのように見せかけているだけだ」

国境周辺の住民
「意味がない。無意味な政治劇だ」

国境での“ある異変”を感じているという人も…

国境周辺の住民
「これが、その映像です」

ことしの春、男性が自宅の庭で撮影した映像には、アジア系の集団が歩いている姿が収められていました。

国境周辺の住民
「これが日常茶飯事です」

実際に私たちが取材したときも、不法移民の中にはアジア系の姿がありました。

──どこから来ましたか?

「あ?」

英語は通じないようですが、スマホを使って中国語で質問すると…

──どこからきました?

「中国です」

去年以降、中国人の不法移民が激増しているというのです。去年1年間で、前の年の10倍にあたる約3万7000人に上りました。

中国人の不法移民が、遠く離れたアメリカを目指すワケとは?

不法に入国した中国人 父・曹興宝さん
「アメリカへ来るまで、25日もかかりました」

ことし5月にメキシコとの国境を越えてきたという親子は、SNSで中国政府を批判したとして当局に拘束され、約1年半収監されたことから、亡命を希望してアメリカに来たといいます。

不法に入国した中国人 父・曹興宝さん
「私たちは、安全と自由のためだけにアメリカに来ました。それ以外の目的はありません」

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不法に入国した中国人たちが毎朝集まるというのが、ニューヨークのチャイナタウン。実際に行ってみると…

記者
「朝7時を過ぎました。街には、非常に多くの不法移民らが集まり、日雇いの仕事を探しています」

ビザなしでの違法な就労があとをたたず、毎朝のように、日雇いの仕事を求める不法移民らの姿がありました。

こうした事態を受け、バイデン政権は今月2日、中国人不法移民を大型チャーター機で中国本国に強制送還したと発表。その数は、116人に上ったということです。

この状況に、トランプ氏は…

トランプ前大統領(今年4月)
「彼らはみんな軍人の年齢で、ほとんどが男性だ。我が国に、“小さな軍隊”をつくろうとしているのではないか」

中国人不法移民が軍隊を結成し、アメリカを攻撃するとの持論を展開。現在、開かれている共和党大会では、「国境封鎖」や「不法移民の史上最大の強制送還」を盛り込んだ、党の綱領を採択しました。

“移民大国”アメリカの行方を大きく左右する、大統領選挙。最新の世論調査では、不法移民の厳しい取り締まりを掲げるトランプ氏が、バイデン氏を2ポイントリードしています。(※支持率 トランプ氏:43%、バイデン氏:41% 世論調査:16日 イプソス/ロイター)