処理水放出で“不安”あおる報道も…食塩求め市民が殺到 圧力をさらに強める中国
東京電力・福島第一原発の処理水放出をめぐり、中国政府は25日、日本産の水産物の加工品の購入や使用を禁じるとした新たな対抗措置を発表しました。影響はどこまで広がるのでしょうか。
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中国のSNSに投稿されたのは、山東省にできた市民の行列を捉えた動画。目当ては、食塩です。
「塩を買うのにたくさんの人が並んでいる」
「車で運んできた4トンの塩が1時間で売り切れた」
北京市内にあるスーパーを訪ねても、塩の陳列棚にはほとんど商品がありません。いま、中国では食塩を求め市民が殺到しているのです。
店員
「日本が核汚染水を排出するから、みんな汚染を恐れているから」
処理水放出による海洋汚染を懸念してか、買いだめが発生。店舗でも、ネット通販でも食塩が品薄になっているのです。
24日から始まった福島第一原発の処理水放出。特殊なろ過装置を使ってもトリチウムだけは取り除けませんが、環境基準値を大幅に下回る濃度で海へ放出しています。
しかし、中国国営メディアは「食品の安全が脅かされている」と一斉に報じ、中国政府は輸入禁止措置を拡大したのです。さらに25日、新たな措置を発表。日本産の水産物の加工品の購入や使用も禁止するということです。
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福島県では25日朝、処理水放出後初めての競りが行われました。「常磐もの」と呼ばれ、人気が高い福島県沖の魚。これまでと変わらない活気に、仲買人は「冷静に受け止めているからさ、『良かったな』という気持ちもない」と話していました。
その「常磐もの」を扱う都内にある店に並んでいたのは、福島県産の大きなヒラメです。
フーディソン 地方創生プロジェクト担当・山本久美恵さん
「福島県沖というのは、黒潮と親潮がぶつかる境目の海。プランクトンが豊富なことで、とても質のいいおいしい魚がとれる」
福島県沖の漁場では、質の高い魚がとれるということです。その魚について、店に来ていた客は「基準をクリアしているという話だし、それを信じれば大丈夫だと思う」と話していました。
25日、東京都の小池知事がランチで口に運んだのは、宮城県産のカツオや福島県産のスズキ。福島や宮城などでとれた魚を食べ、安全性をアピールしました。
25日午後4時、東京電力は処理水放出後初めて、周辺海域でのトリチウム濃度の測定結果を公表。
東京電力
「想定してきたところの値と大きく変わらない。十分、下回っていることを確認」
発電所から3キロ以内の10地点で、放出後の24日午後4時前後に海水を採取したところ、いずれも数値に異常はなく、正確に測定できないほどの値だったということです。
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こうしたなか、中国では「核汚染水がいつ到達するのか」を表しているという動画も作られています。福島第一原発付近から波のように広がる赤や黄色。中国沿岸に到達するのは約240日後とされています。
この動画の根拠は何なのか、私たちは動画の作成者側に質問を送りましたが、25日時点で回答はありません。
不安をあおるようなものも見られる、原発処理水についての中国国内の報道。そのあおりを受けてか、中国産の魚介類などを扱う北京の市場でも、客足が遠のいているといいます。
市場の人
「200数日で中国に到達するというから、それでもうおしまいだ」
不安は、北京にある日本料理店でも広がっています。すでに全く日本のものは入ってこないといいます。
日本料理「東也」 谷岡一幸オーナー
「今後はもしかすると加工品だとか、その他の食品。手に入らなくなることをすごく心配しています」
25日、日本産の水産物の加工品も購入や使用を禁止した中国政府。圧力をさらに強めています。