母国の平和を願うウクライナ人歌手「音楽には力がある」歌に込めた希望と思い
15日、東京・渋谷区でウクライナを支援するチャリティーコンサートが開かれました。ウクライナ出身の歌手が母国の平和を願い、今も現地で苦しむ多くの人に“音楽”で希望を届けました。
■チェルノブイリ原発事故経験 ウクライナ出身の歌手
ウクライナ出身の歌手ナターシャ・グジーさん(42)は、6歳のときにチェルノブイリ原発事故を経験。避難生活で各地を転々とした後、首都キエフに移住しました。
8歳の頃にウクライナの民族楽器「バンドゥーラ」と出会い、美しい音色に魅せられ、音楽学校に通い技術を磨き始めます。1996年に初来日し、その後、日本に移り住み、現在も各地で音楽活動を続けています。
■母国の平和を願い歌う
15日にチェコ共和国大使館で行われたチャリティーコンサートには約120人の観客が訪れました。バンドゥーラを使った曲や、ナターシャさんが作詞作曲した楽曲など、合わせて11曲が演奏されました。
ナターシャさんは、コンサートの最後に日本の歌「ふるさと」を披露。大切に思っているこの歌をウクライナ語と日本語で歌い、「私の心はウクライナと共にある」というメッセージを込めたといいます。
「ウクライナの人々に私の平和への思いが音楽にのって届いてほしい。心の中に希望という“ともしび”が生まれたらいいなと思い、心の底から歌いました」
■「今、起きている事」を 身近に感じてもらうきっかけに
ロシアの軍事侵攻が続く中、ナターシャさんの母親はポーランドへ逃れましたが、姉2人は今もウクライナにとどまっています。
現地に残っている家族や友人、生まれ育った"ふるさと"のことを常に考えながら歌っていたというナターシャさん。自分が歌うことで、ウクライナの問題をより身近に感じてもらうきっかけになったらと語りました。
また「今回のコンサートは大事な一歩だった」と振り返りました。
「みんなの心に音楽があって、大きな支えになっていると思います。歌にはそれだけの力があって、どんなにつらく悲しくても、歌うことによって前に立ち向かう力が沸いてくると信じています。いつまで大変な状況が続くのか誰にもわかりません。でも、それを乗り越える力をウクライナの人々は持っていると私は信じているので、その心の強さを持ち続けてほしいと思います」