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中国経済が急減速 コロナで深刻化する就職難に新卒生「エントリーすらできない」

2022年7月15日 14:59
中国経済が急減速 コロナで深刻化する就職難に新卒生「エントリーすらできない」

中国政府の発表によると、今年4~6月期のGDP(国内総生産)は、前年同期比で0.4%増にとどまった。1~3月期の4.8%増から急減速し、通年の成長率目標である「5.5%前後」の達成はさらに遠ざかった。

徹底した感染封じ込めで、上海のようなロックダウン(都市封鎖)も辞さない中国の「ゼロコロナ」政策は、消費や生産活動を大幅に制限し、国内経済に打撃を与えている。

こうした中、深刻化しているのが就職難だ。都市部における若年層(16~24歳)の失業率は悪化し続け、大学卒業シーズンの6月には19.3%と、統計開始以来、最悪の水準となった。今年の新卒者は過去最多の約1076万人となり、競争に拍車をかけている。

北京の大学で卒業を控えていた王さん(23歳・女性)は、学校側から突然、感染対策を理由に宿舎からの退去を命じられ、地方の実家に帰省した。北京でメディア関連の仕事に就くことを希望するが、厳しい移動制限があるため、多くの面接試験に参加できないという。

王さん「家族からも早く仕事を見つけなさいと催促され、イライラしています」

河北省の大学を卒業したばかりの孔さん(22歳・女性)は、学校で専攻していた金融関連の仕事を探すが、「状況はとても厳しい」と焦りの表情を見せる。

春に受験する予定だった金融業向けの資格試験は、コロナ対策の影響で延期されたまま。業界では、この資格が応募条件になるため、孔さんは「企業にエントリーすらできない」と嘆く。

他のクラスメートも、ほとんどが就職活動の真っ最中だ。「時間稼ぎ」で大学院を受ける人も多いという。

企業活動へのダメージが大きい「ゼロコロナ」政策。そのしわ寄せを受ける就活生として不満はないのか。孔さんは迷う様子もなく、次のように答えた。

孔さん:「(政策を)支持します。就職に多少の影響はあっても、命の危険に比べれば大したことではありません」

習近平国家主席は6月末、世界で最初に新型コロナの感染拡大が確認された湖北省武漢市を視察。ゼロコロナ政策について「総合的に考えると最も経済的かつ効果的だ」と自賛した。「成り行き任せの感染対策は目も当てられない結果を招く」とも述べ、方針転換するつもりはない姿勢を強調した。

一方、同じ頃に開かれた政府部門の会合で李克強首相は、雇用環境の悪化に警戒感を示した上で「感染対策と経済・社会の発展を両立すべきだ」と主張している。

経済の失速が国民の不満を高め、共産党指導部への求心力が低下することに危機感も募る。

今秋の共産党大会で、慣例破りの3期目続投を狙う習主席にとって、社会・経済の安定は最重要課題だ。「ゼロコロナ」の看板は下ろさず、経済の回復を推し進める。この無謀とも思える政策は、ますます難しい局面を迎えている。