プリゴジン氏と交渉…ベラルーシ大統領が明かす“舞台裏” ワグネルの活動費「全額国費」プーチン大統領の狙いは
民間軍事会社「ワグネル」の創設者プリゴジン氏がロシアで起こした反乱は、短期間で収束しました。その収束に至るまでの舞台裏の一部をベラルーシのルカシェンコ大統領が明かしました。一方、プーチン大統領は、ワグネルの活動費が「全額国費で支払われていた」と明らかにしました。
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ロシアの民間軍事会社ワグネルによる反乱が起きたその日、何が起きていたのでしょうか。プーチン大統領に“愛称”で呼ばれるほどの仲だというルカシェンコ大統領が、その舞台裏の一部を明らかにしました。
ベラルーシ ルカシェンコ大統領
「私はプーチンに急がないように勧めた」
「プーチンはこう言った『サーシャ(ルカシェンコ氏の愛称)無駄だ。彼(プリゴジン氏)は電話にも出ないし、誰とも話そうとしない』」
ルカシェンコ大統領によると、反乱当日の朝、プーチン大統領はワグネル創設者プリゴジン氏に連絡を取ろうと試みるも、プリゴジン氏は電話に出ませんでした。
そこで、プーチン大統領がルカシェンコ大統領に連絡。武力による解決を急ごうとするプーチン大統領に対し、ルカシェンコ大統領が仲介を申し出たということです。
ベラルーシ ルカシェンコ大統領
「最初の会談では、30分ほど汚い言葉でののしりながら話していた」
プリゴジン氏との交渉は、“ののしり”の言葉から始まったといいます。先月5日には「ショイグ! ゲラシモフ! 弾薬はどこだ!」と叫ぶ様子をSNSに公開したプリゴジン氏。彼が求めてきたのは、関係が悪化していた軍幹部、ショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長の引き渡しでした。
しかし、ルカシェンコ大統領は「この状況では誰も引き渡さない」と説明。それでも“モスクワに進軍する”というプリゴジン氏に対し、「(モスクワに行く)途中で虫けらのようにつぶされる」と警告したといいます。
その後も交渉を重ねた結果、プリゴジン氏は要求を取り下げ、事態は収束の方向へ向かったといいます。
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一方、プーチン大統領は27日、「ワグネル集団の支援は、完全に国が負担していた」と述べました。非合法組織であるワグネルの活動費が「全額国費で支払われていた」と明らかにしたのです。
その額、去年5月からの1年間で約1450億円。さらに、プリゴジン氏のケータリング会社が、軍への食料供給に絡む契約で約1350億円を国から受け取っていたことについても触れました。
ロシア・プーチン大統領
「(国からのお金を)誰も何も盗んでいない。盗んだとしても、少しだけだと望んでいる。もちろん我々はこれを確認するつもりだ」
プリゴジン氏の周辺で資金が不透明に使われていた可能性を暗に示し、ロシア国内での影響力を抑える狙いがあるとみられます。