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ロシアの“報復”さらに続く? 全土にミサイル…専門家「安全な場所はないというメッセージ」

2022年10月11日 1:05
ロシアの“報復”さらに続く? 全土にミサイル…専門家「安全な場所はないというメッセージ」

10日、ウクライナの首都キーウなど、複数の都市が、ロシア軍による攻撃を受け市民ら70人以上が死傷しました。今回、発射されたのは83発。攻撃がさらにエスカレートする可能性はあるのでしょうか。

■ プーチン大統領の“怒り”の表れ


有働由美子キャスター
「ミサイルが打ち込まれたのは、首都キーウの中心部で、オフィス街にある公園です。ウクライナ大統領府もすぐ近くで、私たちは8月に取材でこの場所を歩きました」

「レストラン、大学、そして大型のショッピングモールもあって、市民の誰が通ってもおかしくない…。こんな場所にミサイルが撃ち込まれるなんて、衝撃的なんですけども…」

小野高弘・日本テレビ解説委員
「逆に言えば、それだけ“プーチン大統領が怒っている”ことの表れだと思うんです。この日だけで、キーウだけでなく、リビウやザポリージャなど、幅広い場所にミサイルを発射しているんです。あわせて83発もロシアは発射しています。もちろん、迎撃したものが多いんですが、それでもこれだけ被害が出ています。大勢、市民が住んでいる都市ばかりですよ」

「では、全土を狙う理由は何か。現代軍事戦略に詳しい、防衛研究所・高橋杉雄さんは『安全な場所はない、というロシア側のメッセージだろう』とおっしゃっています」

有働キャスター
「8月に現地を取材した時、独立記念日ということもあり、警戒を呼びかけられていましたが、それでも、キーウの方は空襲警報が鳴っても逃げる方、避難する方は2割くらいで、“実際には飛んで来ないだろう”という感じがありました。ただ、今回の緊張感は違う…。この後も続くんでしょうか?」

小野委員
「高橋杉雄さんによると、『ロシアは使えるミサイルの数を見ながら、しばらくは続ける可能性はある』。その一方で、これは“報復”なんだ、と。『“ロシアを攻撃すれば、こういう目にあう”という意図を示せれば、目的は達成するので、ずっと続けるわけではないだろう』とおっしゃっています」

■ “強硬派”への配慮…引き下がれぬ理由


小野委員
「それでも、今、プーチン大統領には、簡単に引き下がれない事情もあるんです。ロシア国内には、これまでプーチン大統領に忠誠を誓ってきた“強硬派”と言われる人たちがいるんです。ロシア軍の失敗続きに対してこんな声をあげているというんです」

「たとえば、『軍の幹部らは無能だ』とか、『誰かがこの責任を取るべきだ』といって批判しています。そして、『もっと動員して大規模に攻撃すべき』とか、『小型の核を使用すべきだ』とか。こうした発言が、ときにはテレビ番組やSNSなど、オープンな場で出始めたんです」

「プーチン大統領としては、威信を保たなければいけません。こうした強硬派の主張に、ますます気を使わなきゃいけないってことになるんです」

■ 核の使用への不安


小野委員
「では、実際に核兵器を使うことはありえるのか。たしかに、今のロシア軍は、“装備が不足している”、“ろくな訓練もできていない”、“兵士の士気は低下している”と。ウクライナを大規模に侵攻するだけの力はないので、今、核兵器を使うのではないかという不安はある」

「ただ、やはり高橋杉雄さんによると、『核の使用はプーチン大統領といえども、正当な理由がなければならない。今回、クリミア橋の破壊に対する報復としては割に合わず、当面、核の使用はないのではないか』と、おっしゃっています」

有働キャスター
「これ以上、市民の犠牲が出ないことを祈るばかりですけれども…。士気が下がって、撤退が続いて、国民の気持ちも離れている今、この戦いが無理筋であることを、世界で一番実感しているのが、プーチン大統領だと思います。いますぐに、ウクライナから手をひくべきです」

(10月10日『news zero』より)