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“住民投票”ウクライナ4州で「ロ軍への動員」も……男性は州外に出られず 一方、専門家「冬にヘルソン州奪還の可能性」も 

2022年9月29日 11:02
“住民投票”ウクライナ4州で「ロ軍への動員」も……男性は州外に出られず 一方、専門家「冬にヘルソン州奪還の可能性」も 
正当性が疑問視されるなか、ウクライナの4つの州ではロシア側への編入を問う住民投票が行われました。併合を宣言し、管轄するトップの人選まで決まっているとみられます。4州ではロシア軍への動員や移動制限が始まっていますが、今後の行方を考えます。

■4州で「ロ軍への動員」の動きや「移動制限」

有働由美子キャスター
「(ルハンシク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソンの)ウクライナの4州では一部をロシアが実効支配していますが、併合宣言となるとどうなるのでしょうか?」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「ロシア政治に詳しい慶応義塾大学の廣瀬陽子教授によると、この4つの州では既に、ウクライナ人に対する1つの統制力として、反ロシア的だという理由だけで、ロシア軍に動員する動きがあります」

有働キャスター
「ウクライナ人をウクライナ人と戦わせる、ということですよね」

小栗委員
「そうです。それだけにウクライナの人の中には州の外に出ようとする動きもあるそうですが、女性はまだ出られるものの、男性は検問所で移動が許されなくなっているということです」

「またロシアは、この4州とクリミアを併せて『ロシア連邦管区』をつくり、そのトップの全権代表に、元ロシア副首相で国営宇宙企業のロゴジン前総裁を充てることまで決めているということです」

■廣瀬教授「強硬派がたきつけた」

有働キャスター
「この動きを止めることはできないのでしょうか?」

小栗委員
「廣瀬教授は『住民投票をされてしまうと、その地域についてはもはや、なす術はない』と話します」

「ただ『こんなことをしてロシアが戦いに勝つ見込みはない。今回の一連の動きも、一部の強硬派がプーチン大統領をたきつけたもので、軍部も好ましく思っていない。プーチン大統領がもはや力を失っているのも確かだ』と分析しています」

■戦況分析で…「ウクライナ優位」

有働キャスター
「ということは、勝機はウクライナにあるということですか?」

小栗委員
「その見方は、防衛研究所の高橋杉雄室長も同じです。ウクライナは9月に入って(東部の)ハルキウ州の広い地域を奪還していますが、高橋室長は『東部の戦況などを見ても、戦術的には今、ウクライナ側が優位にある』と分析しています」

「今回ロシアが併合を宣言しようとしている南部のヘルソン州については、『冬の間にウクライナが奪還できる可能性はある』とみています」

「ただ、ウクライナの土地は冬は凍っていて固く、春になって地盤が緩むと戦車が進めないほどドロドロになります。それがある程度落ち着く来年春の終わりから初夏にかけて、『ウクライナ側はルハンシク州の北部にかけて大攻勢をかけることを狙うのでは』と言います」

■辻さん「国民がロシアの被害者に」

有働キャスター
「1年たっても終わる見通しが立たないということですが…」

辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「ロシア国民でさえ、ロシアという国の深刻な被害者になってきていると感じました。本来国というものは、国民やそこで暮らす人たちを守るためにあるはずなのに、強制的に民間人まで駆り出すのは本当に異様な光景に思え、これが戦争なんだと改めて痛感しました」

有働キャスター
「こうなるとウクライナを支えるために、ますます西側の結束が重要なのでしょうが、ヨーロッパの足並みもここに来て乱れがちな雲行きですし、まだまだ戦争の終わりが見えないのが歯がゆいです」

(9月28日『news zero』より)