ロシア軍が完全制圧を目指すウクライナ南東部マリウポリで、「最後の砦」となった製鉄所をめぐり、ウクライナ軍の司令官が「最後の日々を迎えようとしている」として、危機的な状況を訴えました。

ロシア軍は市民1000人以上が避難しているとされる製鉄所を包囲し、攻撃を続けています。ロシア国防省は日本時間の20日午後8時からと時間を定めて製鉄所内にいるウクライナ側の兵士らに投降するよう求めましたが、新たな動きは確認されていません。

ロイター通信によりますと、プーチン大統領に忠誠を誓うチェチェン共和国のカディロフ首長は「ロシア軍が21日に製鉄所を完全に支配下に置くだろう」としています。

一方、製鉄所の中で抗戦するウクライナ軍の司令官は20日、動画を投稿しました。

ウクライナ軍・ボリンスキー司令官「これが世界に向けた私たちの人生最後の訴えになるかもしれない。あと数日間か、数時間しか生きられないかもしれない」

10倍のロシア軍に囲まれ危機的な状況だとしたうえで、各国の首脳に対し、負傷兵や民間人を第三国へ移すよう求めました。

マリウポリでは、「人道回廊」が設置される予定でしたが、ウクライナは「計画通りに機能しなかった」と明らかにしました。陥落の危機を迎える中、厳しい状況が続いています。