原発を“占拠”ロシアの狙いは?「人道回廊」で合意の意味 専門家「攻勢を強めるだろう」
■なぜ原発を攻撃したのか?ロシアの思惑は?
有働由美子キャスター
「まずは、4日朝時点の状況を整理します。前日と比べて大きな変化は見られないのですが、南東部にあるザポリージャ原子力発電所が攻撃をうけました。地元当局によると、ロシア軍によって占拠されたということです。鶴岡先生、ヨーロッパ最大級の原発への攻撃の狙い、それから占拠したことでの影響は、この後どんなことが考えられるのでしょうか?」
慶応義塾大学 鶴岡路人准教授
「まず原子力発電所への攻撃というのは、取り返しのつかない結果をもたらす可能性がありますので、非常に危険で、国際法でも禁止されているわけです。日本政府も『ロシア政府の蛮行は断じて認められない』と、今までで一番強い言葉を使って非難しています」
「ただ、今回の行動は、原発の破壊を目的としたものではなかったんだろうと思います。占拠して支配下に置くことをロシアは狙ったんだと思います。といいますのも、この原子力発電所は、ウクライナ全土の4分の1ぐらいの電力を担っているわけですね。ここを管理下に置くということは、ウクライナ全土に対して、『電力はロシアが握っているんですよ』ということを示すことができるわけですね。これは政府に対しても、国民に対しても、非常に大きな圧力になるんだと思います。重要インフラとしての発電所を管理下に置くことによって、交渉も含めて優位に立つ、国民に対しても圧力を強めていく、そういうことが狙いだったんだろうと思います」
有働
「伊藤さんが気になることは?」
元競泳選手・伊藤華英さん
「チェルノブイリという経験をしているにもかかわらず、『原子力発電所を狙ったわけではない』と言っていましたけど、やはりこの、なぜこの攻撃を決断したのかな、誰がこの決断をしたのかな、プーチン大統領なのかな、というのが質問なんですけど」
鶴岡
「誰がということはなかなかわからないですし、一つ一つの行動はすべて大統領が決めいているとは思えないですけれども、ただこの重要インフラを確保するというのはおそらく、全体の計画にも入っていたことだと思います」