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中国側「容疑者には前科あった」哀悼続くも国営メディア報じず 深セン邦人男児死亡

2024年9月20日 5:51
中国側「容疑者には前科あった」哀悼続くも国営メディア報じず 深セン邦人男児死亡

中国・深センで日本人の男子児童が登校中に男に刺されて亡くなった事件で、学校は19日夜、保護者会を開きました。一方、中国側は、容疑者に前科があったことを明らかにしました。

   ◇

19日夜、亡くなった男子児童(10)が通っていた日本人学校の校長が、取材に応じました。

日本人学校の校長(日本時間19日午後8時ごろ)
「とてもショックですし、再びこういうことが起きてしまって、とても残念に思う」

日本人学校の校長
「(Q.亡くなった男子児童について)とても元気で活発なお子さんと聞いています。動物が好きで、命を大切にするお子さん。周りから見ても、とても友達がいるお子さんだと」

   ◇

事件があったのは、約3600人の日本人が暮らす中国・深セン。

記者(19日朝)
「児童が襲われたのと同じ時間帯の現場です。朝の通勤時間帯ということで、車通りや人通りが多くなっています」

18日、この場所で、日本人の小学5年生の男子児童(10)が男に刃物で切りつけられました。

目撃者
「男の子は血だまりの中に倒れていました。男は『自分がやった』と自ら名乗り出ていました」

現場は、男子児童が通う日本人学校から約200メートルの場所で、当時、親と歩いて登校中だったといいます。男子児童は腹などを刺され、長時間の手術が行われましたが、19日未明、亡くなりました。地元警察は44歳の男を拘束。動機はわかっていません。

深セン市民
「このような暴力事件は反対です。しかも小さい子どもに対して…」「きのうは“特別な日”だからかもしれません」

9月18日は、市民も懸念する“特別な日”…。93年前の9月18日、旧日本軍は中国の柳条湖付近で鉄道の線路を爆破。これをきっかけに満州事変が勃発し、旧日本軍が当時の満州を占領しました。

事件との関連はわかっていませんが、中国では「国辱の日」とも言われ、反日感情の高まりやすい日だとされています。日本政府はこれを踏まえ、中国側に安全対策について万全の対応を行うよう、今回の事件が起きるよりも前に、申し入れをしていました。

中国外務省の幹部と電話会談をした金杉大使は、19日夜…

金杉憲治駐中国大使(19日午後7時半すぎ)
「容疑者は前科がある人間で、あくまでも個別での事案だという説明がありました」

──前科とはどのようなもの?

金杉憲治駐中国大使
「まだ具体的な話は伝わってきていない。我々としても一番知りたいのは、日本人が狙われていたのか。引き続き、中国側のしっかりとした説明を求めていきたい」

日本企業も多く進出している深セン。現地に住む日本人にも衝撃が広がっています。5年前から深センに住んでいる男性は…

深センに5年在住 日本人男性(30代)
「深センは最も平和だと思っていた街。日本人友達になろうよという、フレンドリーな方が多い街」

しかし…

深センに5年在住 日本人男性(30代)
「9月18日なので、(刺されたのは)偶然ではないでしょと、みんな思っています。中には子どもを育てている仲良い友達もいるけど、こういう状態であれば、日本に帰って子育てした方がいいんじゃないかと」

中国で日本人が襲われる事件は過去にも─。

今年6月には蘇州市のバス停で、スクールバスを待っていた日本人の親子が、中国人の男(52)に刃物で切りつけられました。命に別条はありませんでしたが、刺されたバスの案内係の中国人の女性が亡くなりました。日本人学校の関係者が切りつけられる事件が短期間で相次ぐ中、19日夜、都内でも日本に住む中国人らが、亡くなった男子児童へ祈りをささげていました。

日本で働く中国人男性
「本当につらい感じ。子どもに対する暴力事件は、本当に怒りました」

児童が通っていた学校には、花を手向けに来た中国人の姿も…。

献花に来た中国人
「非人道的なことです。悲しすぎます」

献花に来た中国人
「すべての中国人が犯人のような人ではないと、日本人もわかると思います。ごめんなさい、ごめんなさい」

ただ、現地の新聞を見てみると…

記者
「一面で大きく報じているのはレバノンでの爆発事件で、紙面めくってみても、深センでの事件については一切報じていません」

中国の国営メディアも、男児の死亡について一切報じていません。(※19日夕方時点)

中国外務省は、遺憾と哀悼の意を表明した上で…

外務省報道官(19日午後)
「これは個別案件だ。類似の案件は、いかなる国でも発生する可能性がある。個別案件なので、日中間の交流や協力に影響はないと信じている」

事件については「調査中」などと述べるにとどまりました。

北京では19日、日本企業の幹部や、日本人学校の関係者と日本大使館による緊急の会議が開かれ、今後の対応を協議しました。

   ◇

岸田首相は…

岸田首相(19日午後3時すぎ)
「極めて卑劣な犯行であり、重大かつ深刻な事案であると受け止めています。犯行から既に1日以上がたっていることから、一刻も早い説明を強く求めるよう、指示をしたところであります。このような事案、二度と繰り返してはなりません」

(9月19日放送『news zero』より)

最終更新日:2024年9月20日 5:51