【時系列でわかる⑫】ハマス側、エジプト提案の“終結計画”拒否~ロイター通信(16日~25日)
10月7日、中東パレスチナ自治区のイスラム組織「ハマス」が、イスラエルに向けてロケット弾などによる激しい攻撃を開始。イスラエル側も反撃し、武力衝突が激化しています。
イスラエルとハマスの仲介役を担っているエジプトの提案では、2週間の戦闘休止や一部の人質の解放に続き、ハマスやパレスチナ自治政府などがガザ地区を再建する政府をつくり、最終的には選挙を実施するとしています。
ハマスがガザ地区での実効支配を一時的に放棄する内容になっていて、ロイター通信は25日、エジプト関係筋の話として、ハマスが人質の解放以上の譲歩はできないとして、提案を拒否したと伝えました。
ハマスのガザ地区での指導者・シンワル氏は25日、「イスラエル軍との前例のない激しい戦い」に直面しているものの「占領者の条件に屈することはない」とのメッセージを出したとされ、徹底抗戦の構えを強調しています。
武力衝突をめぐる動きを、時系列でまとめます。
(記事中の日付は原則、現地時間です)
イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ地区での戦闘中に、誤って殺害したイスラエル人の人質3人をめぐり、現地メディアは人質が白い旗を掲げていたと報じました。
イスラエル軍は15日、ガザ地区での軍事作戦で、拘束されていた人質3人を誤って射殺したと明らかにして、原因の調査を進めてきました。
イスラエルメディアは16日、兵士が3人に気づいた時、全員シャツを着ておらず、抵抗の意図がないことを示す白い旗を掲げていたことが、軍の初期の調査で明らかになったと伝えました。
兵士はイスラム組織ハマスがワナに誘い込もうとしていると考えて発砲し、他の部隊に「テロリストだ」と叫んだということです。
一方、中東メディアのアルジャジーラは15日、イスラエル軍の攻撃によりカメラマンが死亡したと報じました。カメラマンはガザ地区南部ハンユニスの学校で取材中にミサイル攻撃でケガをしましたが、軍が救助活動を5時間以上妨げ、その後、死亡したとしています。
CPJ(=ジャーナリスト保護委員会)によりますと、10月7日の戦闘開始以降、少なくとも64人のジャーナリストやメディア関係者が死亡したということです。
イスラム組織「ハマス」に拘束されているイスラエル側の人質解放をめぐり、ネタニヤフ首相は16日、交渉が行われていることを示唆しました。
イスラエル軍は16日、ガザ地区北部にあるカマルアドワン病院での作戦を完了したと発表しました。
ハマスの指揮統制センターだったとして、多数のテロリストを拘束したと主張し、新生児集中治療室の機器から武器を見つけたとする映像を公開しています。
一方、パレスチナ保健省は、この病院でイスラエル軍がパレスチナ人を生き埋めにしたとの情報があるとして、国際的な調査を求めました。
こうした中、ロイター通信は関係者の話として、人質解放をめぐりイスラエルの情報機関トップと交渉の仲介役を務めるカタールの首相が15日、ヨーロッパで会談したと報じました。
エジプトの情報筋の話によると、イスラエル側は新たな戦闘休止に前向きな姿勢を示しているということです。
ネタニヤフ首相は16日、詳細について言及は避けつつも、交渉チームに指示を出していることを認めました。
イスラエルメディアは17日、イスラム組織ハマスに拘束されている人質の解放をめぐり、イスラエルの情報機関トップと仲介役のカタールの首相が行った会談は、前向きなものだったと伝えました。
複数の欧米メディアによりますと、イスラエルの情報機関・モサドの長官と仲介役を務めるカタールの首相の会談が、ヨーロッパで行われました。
イスラエルの有力メディアハーレツは17日、会談は前向きなものだったと伝えました。また、ロイター通信は、双方ともに停戦と人質解放に前向きだと報じています。
こうした中、イスラエル軍は、ハマスがガザ地区に構築した巨大な地下トンネルを新たに発見したと発表しました。トンネルは幅3メートル、全長4キロあり、車が通れる大きさでこれまでで最大のものだとしています。
一部は深さ50メートルにおよび、ガザ市からイスラエルとの境界近くまで延びているということです。
アメリカのオースティン国防長官は18日、イスラエルを訪問し、ガラント国防相と会談しました。会談後、ガラント氏はパレスチナ自治区・ガザ地区での軍事作戦を徐々に「次の段階」に移行させると述べました。
アメリカ・オースティン国防長官「強度の強い軍事作戦から、より強度を弱めた、特定の目標に絞った作戦に移行する方法について、我々はよく考えている」
アメリカのオースティン国防長官は18日、イスラエルのガラント国防相と会談し、ガザ地区での軍事作戦について先週、両国で合意していた攻撃の規模縮小などについて議論しました。
ガラント国防相は会談後、「任務を達成した全ての地域で、徐々に作戦を次の段階に移行し、地元住民を呼び戻せるだろう」などと述べました。ただ、具体的な作戦の移行時期については言及しませんでした。
一方、ロイター通信はアメリカのCIA(=中央情報局)のバーンズ長官が、18日にポーランドでイスラエルの情報機関トップやカタールの首相と会談すると報じました。ハマスとの人質解放交渉について協議を行うということです。
国連の安全保障理事会は、パレスチナ自治区ガザ地区の人道状況を改善するために「敵対行為の一時停止」を求める新たな決議案の採決を近く行う見込みです。
国連安保理は19日、緊急会合を開き、衝突が続くガザ地区への対応を協議しています。採択を目指す今回の決議案は、ガザ地区における人道状況が「急速に悪化している」と深い懸念を表明した上で、人道状況を改善するために「敵対行為の緊急の一時停止」などを求めるものです。
決議案では「全ての人質の即時かつ無条件の解放」も求めていますが、イスラム組織「ハマス」は名指しされていません。
この決議案について、アメリカが難色を示しているものとみられ、交渉が続けられています。
採決は当初の予定から延期が繰り返されていますが、近く行われる見込みです。
こうした中、欧米メディアによりますと、アメリカのCIA(=中央情報局)のバーンズ長官が18日、イスラエルの情報機関モサドの長官や仲介役のカタールの首相と、ハマスとの人質解放交渉について協議するため、ポーランドで会談したということです。
ロイター通信は、関係者の話として「会談は前向きなものだったが、合意はすぐには期待できない」と伝えています。
イスラエル軍はガザ地区北部などからの住民が避難している南部の街に空爆を続けていて、これまでの死者は2万人に迫っています。
地元メディアによりますと、ガザ地区北部で地上作戦を続けるイスラエル軍の報道官は、ジャバリアの一帯を完全に掌握し、イスラム組織ハマスのガザ地区北部における作戦能力を断ち切ることに成功したと述べました。
また、イスラエル軍は南部ハンユニスでも作戦を拡大し、この地域に部隊を増派したと明らかにしました。
さらに、イスラエル軍は北部などから住民が避難している南部のラファにも空爆を行い、ロイター通信によりますと、少なくとも20人が死亡しました。これまでのパレスチナ側の死者は、あわせて2万人に迫っています。
イスラエルのガラント国防相は今後、地上作戦をガザ地区の追加地域に拡大すると表明していて、イスラエルメディアはラファへの地上侵攻を示唆しているとの見方を示しています。
イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ地区南部の街に空爆を続ける中、ガザ地区での死者は2万人を超えました。
AFP通信は20日、ハマス側の発表として戦闘が始まった10月7日以降、ガザ地区での死者が2万人に達したと報じました。このうちおよそ8000人が子どもで、6200人が女性だということです。
こうした中、AFP通信などによると、ハマス指導者のハニヤ氏は20日、カイロを訪れました。エジプト政府高官らと、戦闘の一時休止や人質と捕虜の交換などについて、協議を行う予定だということです。
また、ウォール・ストリート・ジャーナルはエジプト政府関係者の話として、イスラエル側はガザ地区で拘束されている数十人の人質と引き換えに、1週間の戦闘休止を提案していると報じています。
一方、イスラエルのネタニヤフ首相は、「ハマスが排除されるまで、戦争を続ける」と述べています。
国連の安全保障理事会は、ガザ地区の人道状況を改善するために「敵対行為の一時停止」を求める決議案の採択を目指しています。ただ、決議案の文言に関する交渉が難航しているとみられていて、当初18日に行う予定だった採決は、延期が繰り返されています。
アメリカのブリンケン国務長官は20日、記者会見し、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区での軍事作戦の規模を縮小させる必要性を改めて訴えました。
アメリカ ブリンケン国務長官
「紛争の激しさがより低い段階に移行することは明らかであり、移行する必要がある」
ブリンケン国務長官は会見で、イスラエルによる軍事作戦について、イスラム組織ハマスの幹部に的を絞った攻撃に規模を縮小すれば、「民間人の被害は大幅に減る」と強調しました。
一方、ウクライナへの軍事支援の予算について「必要な資金は、ほぼ底をつき時間も残りわずかとなっている」として、議会に対し追加予算を早急に承認するよう訴えました。
アメリカ議会は、与野党の対立から追加予算案の年内承認を断念していて、年内にも予算が枯渇する可能性が高まっています。
イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザ地区の死者が2万人を超える中、イスラム組織ハマスのトンネルが民間施設の近くで見つかったとして動画を公開し、軍事作戦の正当性を主張しました。
AFP通信は20日、ハマス側の発表としてガザ地区での死者が2万人に達したと報じました。WFP=世界食糧計画はガザ地区では食料や水、シェルターが不足し、住民の半分が飢餓状態だとしています。
国際社会からの批判が強まるイスラエル軍は21日、民間施設の近くでハマスのトンネルの入り口を見つけたとする映像を公開しました。ハマスが民間施設を「隠れみの」にしているとして、軍事作戦の正当性を改めて訴えた形です。また、ハマス幹部の自宅でもトンネルの入り口が見つかったなどとして、映像を立て続けに公開しています。
イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザ地区で死者が2万人に達しました。
AFP通信は20日、ハマス側の発表としてガザ地区での死者が2万人に達したと報じました。
WFP(=世界食糧計画)はガザ地区では食料や水などが不足し、住民の半分が飢餓状態だとしています。
国際社会からの批判が強まるイスラエル軍は21日、民間施設の近くでハマスのトンネルの入り口を見つけたとする映像を公開しました。ハマスが民間施設を「隠れみの」にしているとして、軍事作戦の正当性を改めて訴えた形です。
こうした中、戦闘の一時休止に向けた動きとして、AFP通信などによりますと、ハマス指導者のハニヤ氏が20日、エジプトのカイロを訪れました。エジプト政府高官らと、戦闘の一時休止や人質と捕虜の交換などについて協議を行う予定だということです。
イスラエル軍と戦闘を続けているイスラム組織「ハマス」は、21日、声明を出し、「侵攻が包括的に停止されなければ人質解放などの交渉に応じない」とイスラエル側をけん制しました。
21日に発表されたハマスの声明では、「侵攻が包括的に停止されなければ、人質解放などの交渉に応じない」として、パレスチナ自治区ガザ地区での攻撃を続けるイスラエル側をけん制しました。
一方で、ハマスの幹部らがエジプトで停戦に向けた協議を行っているとした上で、「我々は、侵攻を止めようとする者には耳を傾ける」と述べました。
こうした中、イスラエルのネタニヤフ首相は22日午前、ビデオ声明を公開し、改めてハマス側に降伏を呼びかけました。
イスラエル ネタニヤフ首相
「ハマス側に提案することは極めて単純だ。降伏するか死か。ハマス側に他の選択肢はない」
その上で、「ハマスのせん滅と人質の解放という目標を達成するまで戦争を止めることはない」と述べ、ハマス側への強硬姿勢を強調しました。
■12月21日 ハマスの人質だった子どもら、祖父の解放願い…家族写真を公開
イスラム組織ハマスに連れ去られ、人質となっていた子どもと祖母が、今もパレスチナ自治区ガザ地区で人質となっている祖父の解放を願って、家族写真を公開しました。
イスラエル人のオハド君は、母親と祖父母とともに、イスラム組織ハマスによってガザ地区に連れ去られ、人質となっていました。オハド君は、先月、母親と祖母とともに、解放されましたが、今も祖父のアブラハムさんは、ガザ地区で人質となったままです。
アブラハムさんの一日も早い解放を願って、オハド君は祖母とともに、写真を撮影しました。以前にアブラハムさんと一緒に写った写真と同じ構図で撮影され、オハド君と祖母は、空の食卓を囲んで悲しい表情を浮かべています。
人質の家族らによる団体は、「高齢の人質の健康状態が懸念されている中で、人質の解放が急務であることを訴えたい」としています。
■12月21日 人質解放に向け…イスラエル政府高官「現在、積極的な交渉は行っていない」
イスラエル政府高官は21日、イスラム組織「ハマス」との人質解放の交渉などをめぐり、「現在積極的な交渉は行っていない」と明らかにしました。
現地メディアによりますと、イスラエル政府高官は21日、報道陣に対し、人質解放や戦闘の一時休止をめぐるハマスとの交渉について「今週、仲介役のカタールと2回協議して進展があったが、現在は積極的な交渉は行っていない」と明らかにしました。
ハマス側が交渉再開に向けて前向きな反応を示していないと主張し、戦闘を継続する意向を示しています。
また、イスラエル軍の報道官は21日、今月戦闘を再開して以降、ハマスの戦闘員を2000人以上殺害したと主張しました。これまでに延べ8000人を殺害したとしています。
一方のハマス側は21日の声明で「侵攻が包括的に停止されなければ人質解放などの交渉に応じない」として、イスラエル側をけん制しています。
イスラエル軍の攻撃が続くガザ地区では食料不足が深刻化する中、人口の9割が危機的なレベルの飢餓に直面しているとの報告書が出ています。
21日に発表された食料危機などに関する報告書はガザ地区の食料不足は壊滅的な状況で人口の93%が危機的なレベルの飢餓に直面していると指摘しています。住民は深刻な栄養失調に陥り、飢餓のリスクは「日に日に高まっている」ということです。
さらに、WHO(=世界保健機関)は多くの人が飢餓により免疫が低下しているとしたうえで避難所ではトイレやシャワーが不足し清潔な水も行き届いていないため、感染症が急増しているとしています。人道状況が悪化の一途をたどる中、WHOは「即時の人道的停戦を改めて要求する」と訴えています。
イスラエル軍は21日、パレスチナ自治区ガザ地区でイスラム組織「ハマス」の主要な地下トンネル網を破壊したとする映像を公開しました。
イスラエル軍が新たに公開した映像では、多くの建物が立ち並ぶエリアで広範囲にわたって爆発が起き、炎と煙が上がる様子が確認できます。
イスラエル軍の報道官は21日、ガザ市中心部の地下に広がるハマスのトンネル網を破壊したと明らかにしました。この一帯はハマスの中心拠点で、地下トンネルは指導部の隠れ家など様々な重要施設をつないでいたとしています。
また、10月7日のイスラエルへの攻撃についても、ハマスの指導部は、この地下トンネルから指揮していたと主張していて、報道官は「重要なインフラの破壊により、ハマスは戦略的な能力を失った」と意義を強調しました。
パレスチナ自治区ガザ地区での人道危機が深刻化する中、国連の安全保障理事会は22日、人道支援を拡大するための決議を採択しました。
イスラエル軍による空爆は22日も続き、ガザ地区南部の病院には、けが人が次々と運び込まれていました。人道危機も深刻化していて、国連機関は、必要な食料の1割しか搬入されていないと訴えています。
こうした中、国連の安全保障理事会は22日、ガザ地区での人道支援拡大を目的に「敵対行為の持続可能な停止に向けた条件整備」を求める決議を採択しました。
決議では、国連のグテーレス事務総長に対し、ガザ地区への支援物資の搬入を調整、監視する国連の担当者を任命するよう求めています。
当初、採択を目指していた決議案は、「敵対行為の一時停止」を求めるものでしたが、イスラエル寄りの姿勢を崩さないアメリカが難色を示したことを受け、決議の内容が後退した形です。
採決は、日本を含む13か国が賛成、アメリカとロシアが棄権しました。
これを受けてパレスチナの国連大使は、「正しい方向への一歩だ」と歓迎した上で、改めて即時停戦を訴えました。
一方、イスラエルの国連大使は、イスラム組織ハマスへの非難が含まれていないことについて、「恥ずべきことだ」などと反発していて、今回の決議が事態の沈静化につながるかは不透明です。
イスラエルのガラント国防相は22日、パレスチナ自治区ガザ地区北部で「作戦目標を達成しつつある」とし、今後、南部での地上作戦の範囲をさらに拡大していく考えを示しました。
イスラエル軍は22日、ガザ市内でイスラム組織「ハマス」の新たな地下トンネル網を発見し破壊したと明らかにしました。
公開した映像では、カメラを装着した軍用犬が地下トンネル内を進んでいきます。長さは数百メートルとされ、身を隠す場所として使われていたとみられるスペースも確認できます。
現地メディアによりますと、イスラエルのガラント国防相は22日、ガザ地区北部で「作戦目標を達成しつつある」と主張した上で、南部のハンユニスなどで展開する地上作戦について、今後、さらに範囲を拡大する考えを示しました。
ハンユニスの地下トンネルに潜伏しているとみられる「ハマス」のガザ地区指導者・シンワル氏について、「頭上の爆撃音を聞いているはずだ」「すぐに我々に銃を向けられることになる」と述べて、攻勢を強めると強調しました。
イスラエル軍はガザ地区南部での軍事作戦を今後さらに拡大する構えです。パレスチナ側は、24時間で200人以上が死亡したとしていて犠牲者は増え続けています。
ガザ地区南部のハンユニスの病院では23日もイスラエル軍による空爆で負傷した住民などが次々と運び込まれました。
パレスチナ側はこの24時間で少なくとも201人が死亡し368人が負傷したと主張しています。
人道支援を拡大するための国連安保理決議が採択されたものの事態が改善する兆しはみえていません。
イスラエルのガラント国防相は22日、ガザ地区北部で「作戦目標を達成しつつある」と主張した上で南部のハンユニスなどでの地上作戦について、範囲を拡大する考えを示しています。
またハンユニスの地下トンネルに潜伏しているとみられる「ハマス」のガザ地区指導者・シンワル氏については「頭上の爆撃音を聞いているはずだ」「すぐに我々に銃を向けられることになる」と述べて、攻勢を強めると強調しました。
パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘をめぐり、アメリカのバイデン大統領は23日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話で会談しました。ネタニヤフ首相は改めて「目標を達成するまで戦闘を続ける」と明言したということです。
ガザ地区南部のハンユニスの病院では23日もイスラエル軍による空爆で負傷した住民などが次々と運び込まれました。
パレスチナ側はこの24時間で少なくとも201人が死亡し、368人が負傷したと主張しています。人道支援を拡大するための国連安保理決議が採択されたものの事態が改善する兆しはみえていません。
また、イスラム組織ハマスは声明で、イスラエル軍の空爆により人質5人を担当していたグループとの連絡が途絶え、人質は死亡したとみられると明らかにしました。
こうした中、アメリカのバイデン大統領とイスラエルのネタニヤフ首相が23日、電話で会談し、戦闘をめぐる今後の展開などを話し合いました。
イスラエル政府によりますと、会談でネタニヤフ首相は、イスラム組織ハマスの壊滅などの目標が達成されるまで、戦闘を続けると改めて明言したということです。
一方、バイデン大統領は会談後「戦闘停止は求めなかった」と明らかにしました。
イスラエル軍は24日、パレスチナ自治区ガザ地区の戦闘で、新たに9人の兵士が死亡したと発表しました。ネタニヤフ首相は、「この戦争は我々に大きな代償を強いている」と述べた上で、戦闘の継続を強調しました。
イスラエル軍は24日、ガザ地区の戦闘で新たにイスラエル兵9人が死亡したと発表しました。この週末だけで、10人以上のイスラエル兵が死亡しています。
AP通信によりますと、これを受けてイスラエルのネタニヤフ首相は、「この戦争は我々に非常に大きな代償を強いている」と述べました。
ただ、その上で、「戦闘を続ける以外に選択肢はない」と、戦闘の継続を強調したということです。
イスラエルメディアは、10月下旬にガザ地区で地上作戦が始まってからのイスラエル兵の死者は、153人にのぼるとしています。
一方、ガザ地区の保健当局は24日、この24時間で少なくとも166人のパレスチナ人が死亡したと発表しました。
地上作戦の軸足がガザ地区南部に移され、双方の犠牲も増え続けています。
■12月24日 “人質5人の遺体発見”ガザ地区の地下トンネル映像を新たに公開 イスラエル軍
イスラエル軍は24日、パレスチナ自治区ガザ地区で人質5人の遺体が見つかったとする地下トンネルの映像を新たに公開しました。
イスラエル軍が24日、イスラム組織「ハマス」の地下トンネルだとする映像を新たに公開しました。イスラエルメディアによりますと、ガザ地区北部の地下に広がっていて、トイレや水道設備があり、武器も製造していたとみられています。
この地下トンネルで、これまでにハマスの人質となっていたイスラエル兵や民間人5人の遺体を発見し、収容したということです。
一方、一般市民の犠牲も増え続けています。ガザ地区中部にあるマガジ難民キャンプで24日、イスラエル軍の空爆があり、ロイター通信はガザ地区保健当局の発表として、これまでに70人が死亡したと報じました。死者はさらに増えるとみられています。
こうした中、キリスト生誕の地とされるパレスチナ自治区のベツレヘムでは24日夜、クリスマスのミサが開かれました。ガザ地区で戦闘が続いていることから、恒例だった巨大なツリーの設置やお祝いの行事も中止され、ガザ地区の住民への祈りがささげられるなど静かなクリスマスを迎えています。
■12月24日 イスラエルとハマスの戦闘終結に向けエジプトが3段階の計画提案 英BBCなどが報じる
イスラエルとイスラム組織「ハマス」の仲介役を務めるエジプトが、戦闘の終結に向けた3段階の計画を提案したとイギリスBBCなどが報じました。
BBCなどは24日、エジプトがイスラエルとハマスに、3段階に分かれる計画を提案したと報じました。
第1段階は、戦闘を2週間休止し、ハマスが人質40人を解放することと引き換えに、イスラエルも拘束しているパレスチナ人120人を釈放するというものです。
第2段階は、ガザ地区の再建に向け、パレスチナ自治政府とハマスで垣根を越えた形の実務的な政府の樹立を目指します。
第3段階で、両者の恒久的な停戦により、イスラエル軍はガザから撤退し、ハマスがイスラエル軍兵士を含む残りの人質を解放する計画です。
仲介役のエジプトには、先週、ハマス指導者のハニヤ氏が訪れていて、24日には、ハマスと共闘する「イスラム聖戦」の代表団も訪問し、エジプト政府当局者と協議したということです。
しかし、ハマス側は恒久的な停戦が実現するまでは人質を解放しない姿勢を強調しています。また、イスラエルのネタニヤフ首相も戦闘を継続する意思を繰り返し示していて、両者の交渉は難航しているものとみられます。
■12月24日 ネタニヤフ首相「我々は怪物と対峙している」 クリスマス期間中の攻撃の正当性強調
イスラエルのネタニヤフ首相は24日、「我々は怪物と対峙している」として、クリスマス期間中もイスラム組織「ハマス」への攻撃を続ける正当性を強調しました。
ネタニヤフ首相は24日、クリスマスのビデオメッセージを公開し、「ハマス」を怪物に例え、クリスマス期間中もガザ地区で攻撃を続けることを正当化しました。
イスラエル・ネタニヤフ首相
「我々の地域では(クリスマスにあるべき)平和も善意もありません。我々が対峙しているのは『怪物』です」
「この戦いはイスラエルだけでなく、文明世界と野蛮人との戦いです」
イスラエル軍は24日もハマスへの攻撃を続け、ガザ地区中部にあるマガジ難民キャンプを空爆しました。ロイター通信はガザ地区保健当局の発表として、この空爆で少なくとも70人が死亡したと報じました。
こうした中、キリスト生誕の地とされるパレスチナ自治区のベツレヘムでは24日夜、クリスマスのミサが開かれました。
ガザ地区で戦闘が続いていることから、恒例だった巨大なツリーの設置やお祝いの行事も中止され、ガザ地区の住民への祈りが捧げられるなど静かなクリスマスを迎えています。
■12月25日 ハマス指導者・シンワル氏が書簡…“前例のない戦いに直面”徹底抗戦の構え示す
イスラエル軍が標的にする、イスラム組織ハマスの指導者シンワル氏が、「前例のない戦い」に直面しているとした上で、徹底抗戦する構えを示したことがわかりました。
イスラエルメディアによりますと、イスラム組織ハマスのガザ地区の指導者シンワル氏は25日、ハマスの政治部門への書簡の中で、「イスラエル軍との前例のない激しい戦い」に直面していることを認めたということです。その上で、「イスラエル軍は、人命と装備に大きな損害を被っている」と戦闘の成果を強調し、徹底抗戦する構えを示しています。
10月7日の軍事衝突以降、シンワル氏のメッセージが公になるのは初めてとみられます。
一方、仲介役のエジプトは、戦闘の終結に向けた3段階の計画を双方に提案していますが、ロイター通信は25日、エジプトの関係筋の話として、ハマスが人質解放以外の提案を拒否したと伝えていて、実現するかは不透明です。
■12月25日 イスラエル軍がシリア空爆、イラン革命防衛隊の幹部死亡~イラン国営メディア
イランの国営メディアは、25日、イスラエル軍がシリアを空爆しイラン革命防衛隊の幹部が死亡したと報じました。
イランの国営通信は25日、シリアの首都ダマスカスをイスラエル軍が空爆し、イラン革命防衛隊のムサビ上級軍事顧問が死亡したと報じました。
中東アルジャジーラによりますと、ムサビ氏はシリアとイランの軍事協力を調整する責任者で、イスラエルは、ムサビ氏がシーア派組織「ヒズボラ」への武器の供給にも関与していたとみていると伝えています。
今回のシリアへの空爆について、イスラエルはコメントを出していません。
国営テレビは「イスラエルはこの犯罪の代償を払うことになる」とするイラン革命防衛隊のメッセージを伝えていて、報復攻撃で中東情勢がさらに悪化する恐れもあります。
イスラエル軍と戦闘を続けるイスラム組織ハマスはエジプトが仲介する人質解放や戦闘終結についての提案を拒否したと、ロイター通信が報じました。
イスラエルとハマスの仲介役を担っているエジプトの提案では、2週間の戦闘休止や一部の人質の解放に続き、ハマスやパレスチナ自治政府などがガザ地区を再建する政府をつくり、最終的には選挙を実施するとしています。
ハマスがガザ地区での実効支配を一時的に放棄する内容になっていて、ロイター通信は25日、エジプト関係筋の話として、ハマスが人質の解放以上の譲歩はできないとして、提案を拒否したと伝えました。
ハマスのガザ地区での指導者・シンワル氏は25日、「イスラエル軍との前例のない激しい戦い」に直面しているものの「占領者の条件に屈することはない」とのメッセージを出したとされ、徹底抗戦の構えを強調しています。
こうした中、イスラエルのネタニヤフ首相は議会で演説し、軍事作戦を継続する方針とともに人質解放には「時間が必要だ」と発言しました。これに対し、傍聴していた人質家族らが「時間がない」と抗議の声をあげました。
人質の家族ら「いますぐ!いますぐ!」
今月1日の戦闘再開以降、生還した人質はおらず、人質解放の交渉に取り組むよう求める声が高まっています。