泥水が座席の下に…アンダーパスで路線バスなど水没 交通規制なかったか…“管理態勢”を捜査へ 韓国
先週から大雨に見舞われている韓国では、大規模な冠水や土砂崩れが発生し、これまでに40人が亡くなっています。
中でも、特に深刻な被害となったのが、清州(チョンジュ)にある地下道「アンダーパス」です。15日の朝、付近を流れる川の水が流れ込み、路線バスなど15台以上が取り残されました。これまでに13人が死亡、今も行方がわからない人もいます。
事故当時、バスの乗客が撮影した映像には、ドアのすき間から水が流れ込み、泥水が座席のすぐ下に一気に押し寄せる様子が映っていました。このバスはその後、水没したアンダーパスから引きあげられました。
記者(16日)
「現場のアンダーパスです。消防のほかに多くの軍隊の姿も確認できます。ホースを持って作業にあたっています」
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バスが立ち往生する約10分前にアンダーパスを走った車のドライブレコーダーの映像では、道路は冠水し、水しぶきをあげながら車が進んでいるのが確認できます。
車は地上に出て坂をのぼりはじめますが、上から流れ込む濁流の勢いで、なかなかスピードが出ません。水の量もどんどん増えていきます。
その後、この場所で大惨事が起きました。
当時、現場にいた貨物車のドライバーは「怖かったですよ。(貨物車)は車高が高いので、まさかここまで水が上がってくるとは思わなかった」と話します。
直前には、すでに大量の泥水が流れ込んでいたアンダーパス。現地メディアによると、水があふれ出た川に洪水警報が出されていたにもかかわらず、この場所には交通規制がとられていなかったといいます。
警察は現場の管理態勢に不備があった可能性があるとみて、捜査を始める方針を固めました。
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アンダーパスの冠水被害は、決して“海外だけの話”ではありません。
2021年3月、千葉県松戸市のアンダーパスが冠水し、動かなくなった車に高齢の女性が取り残されました。現場を撮影した映像には「引きあげろ! 引きあげろ! 慌てなくていいから!」と声をかけながら女性を救助する様子が映っていました。
2018年の西日本豪雨では、福岡県北九州市にあるアンダーパス25か所のうち半数以上の15か所が冠水し、車4台が浸水する被害も起きています。
なぜアンダーパスでの被害が後をたたないのでしょうか。
元東京消防庁の坂口隆夫氏によると「冠水したアンダーパスは地面が見えないため、水の深さがわかりにくい」といいます。また「川の水や雨水などが流れ込み、一気に水位が上昇しやすく、後続車がいた場合は引き返すこともできなくなるため、大雨の時は油断せず、アンダーパスを避けたルートを選んでほしい」としています。