【専門家に聞く】「蚊の大量繁殖」防ぐには? 夏を前に…蚊の発生源をチェック
梅雨を迎え「蚊の季節」が到来し、自治体でも大量繁殖しないよう対策がとられています。夏を前に、家庭ではどこに気をつければ大量繁殖を防ぐことができるのか、専門家に聞きました。
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17日、東京・新宿区を走っていたのは、蚊に対して注意を呼びかけるラッピングバスです。車体には「蚊気(かき)注意」と書かれていました。
東京都はこの6月を「蚊の発生防止強化月間」に設定。蚊が媒介するデング熱などの感染症を防ぐために、今の時期から、大量発生を防ぐ対策の強化を呼びかけているのです。
本格的な蚊の季節が、今年もやってきました。
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東京・調布市のドラッグストアでは、入り口近くの目立つ場所で虫よけグッズを大展開しています。ワンプッシュだけで効果が持続するタイプが人気だといいます。
特に売れているというのが、“肌に優しい成分”を配合した商品だといいます。
くすりのケンコ薬局 加藤健一店長
「お肌に優しくて、効き目がしっかりある」
「蚊」について買い物客に聞きました。
買い物客
「風呂上がりとかに刺されている。(虫よけ)スプレーをかけるとか、家にいるときは網戸にする」
東京・品川区でも、蚊の発生防止策を強化していました。
品川区保健所生活衛生課 舩木秀樹課長
「こちらのような『雨水(うすい)ます』に、蚊の発生を防止するための薬を投入しています」
雨水を集め、排水などを行う「雨水(うすい)ます」は、蚊の幼虫であるボウフラが発生しやすいため、成長を抑制する薬剤を投入し、蚊が大量繁殖しないようにしていました。
舩木さん
「毎年4月から10月にかけて、合計で1つの『雨水ます』に4回薬剤を投入しています。蚊が媒介する感染症にかかるリスクを減らすために行っています」
WHO(=世界保健機関)によると、蚊が媒介する感染症の一つ、マラリアは、2020年だけで、世界で推定約63万人が命を落としています。
また、2014年には、日本国内で約70年ぶりに、蚊が媒介する「デング熱」の感染が確認され、公園などで蚊の調査や駆除が行われる事態になりました。これ以降も、国内で感染例が報告されています。
一般の家庭では、どんな場所が蚊の発生源となるのでしょうか。専門家にチェックしてもらいました。
害虫防除技術研究所 白井良和代表
「1か所目はプランターが積み重なっている場所、このように雨水がたまったままになっていて、ちょっと日陰のところ」
――少ししか水入っていないじゃないですか。これだけでも?
白井代表
「(蚊の幼虫の)ボウフラにとっては、これくらいでも成虫になれる」
特に梅雨のシーズンは、プランターなどにたまった水が蒸発しづらいため、ひっくり返すなどして、水を抜くことが大切だといいます。また、幼虫のボウフラが発生しやすい「雨水ます」では、網戸をはって成虫の出入りをなくす対策も必要だということです。そして、蚊に刺されるケースが多いのが、日陰になっている玄関付近だといいます。
白井代表
「暗いところ、涼しいところに蚊も潜んでいる。物置の下であるとか玄関を通るときに、蚊が感知して刺されるとか」
蚊が潜む草の茂みを少なくすることも効果的だといいます。本格的な夏を前に、一度自宅のまわりを確認してもいいかもしれません。