認知症患者と共に暮らす家族が伝える“厳しい現実”
6年前、認知症と診断された佐々木チヨさん (仮名、86)。夫は3年前に亡くなり、娘と息子の家族と6人で暮らしている。家族は今でこそ、認知症について笑って話せるようになったが、かつては深刻な状況だったという。
「母対姉のバトルは近所中響き渡るんじゃないかくらい」
家には、その頃の痕跡がいくつも残っている。チヨさんが食事を投げつけてできた天井の染みやガラスが割れて段ボールで応急処置をしたドアなど。
厚生労働省の推計では2025年後には高齢者のおよそ5人に1人、700万人が認知症になるという。
チヨさんの主治医、脳神経内科の内野勝行医師によると、チヨさんは、アルツハイマー型認知症の中期段階。内野医師によると、チヨさんの症状には、アルコールの量が影響していたのだそう。
「飲み過ぎてしまうと脳の機能が落ち、糖尿病のリスクにもなる」
以前は毎日500mlのビールを5本から7本、1週間でウイスキーを2本もあけるほど飲んでいたというチヨさん。現在は、ビールを1日1本に制限している。それでも失敗を指摘されると、いらだってしまったり、“幻聴”が聞こえたりすることも。
家族は、認知症の症状を知ること理解することが必要だと考えている。
内野医師が、担当している患者の中には、介護施設に入所している人も。94歳の鈴木カツさん(仮名)はアルツハイマー型認知症。症状はかなり進行している。
去年8月に入所する前は、自宅で家族と暮らしていたカツさん。介護していた二女は…「夜中、私のところに来て、『お父さんがいないんだけど…』すでに他界した人を探し始めた」このとき、異変に気づいたという。
その後もカツさんの症状は進行。夜間知らぬ間に外出したり、頻繁に転倒するなど、目が離せない状況に。そして、去年5月の朝。ある出来事が…。この出来事をキッカケに主治医の内野医師は、「施設への入所」を勧めたという。
内野医師は、家族に異変を感じたら、一人で抱え込まず、専門家に相談してほしいと話す。
※詳しくは動画をご覧ください。(2022年7月25日放送「news every.」より)