「心が壊れてしまう…」「家族関係の悪化も」 成人男性は“出国禁止”ウクライナ 家族と離れ深まる男性たちの苦悩
ロシアによる侵攻から24日で5か月となるウクライナでは、成人男性はウクライナの国外に出ることが原則、禁じられています。戦争が長期化する中、国外に避難した家族に会えない男性たちの苦悩は深まっています。
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キーウ市内に暮らす行政書士のニキタさん(27)は、ロシア軍の侵攻直後、妻と8歳の娘らをドイツに避難させ、今は一人、ウクライナに残っています。
ニキタさん「ここは娘がいつも遊んでいた公園だ」
現在、成人男性が国外に出ることは、原則禁止されているウクライナ。ニキタさんが家族と離れてから、まもなく5か月となります。自宅では娘と過ごした平和な日々ばかりが頭をよぎるといいます。
ニキタさん「複雑だ。(娘の部屋に)来たいけど、来るとつらくなる」
この日は久しぶりに、娘のミラナさんとテレビ電話で話します。
ミラナさん「パパの誕生日に描いたプレゼントだよ」
ニキタさん「プレゼント? すごいね」「会えなくてすごく寂しいよ」
ミラナさん「わたしも寂しい」
ニキタさんは一刻も早く、男性が国外に避難した家族に会えるようにすべきだと訴えます。
ニキタさん「もしあと数か月(この状況が)続けば、残っているみんなの心が壊れてしまう」
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キーウ市の支援センターの担当者も、多くの男性が同じ苦しみを抱えていると指摘します。
心理カウンセラー「妻はウクライナに戻るのがまだ怖いが、夫は妻のいない生活はもう耐えきれないと。それで家族の関係が悪化してしまうこともある」
ゼレンスキー大統領は当初、男性の出国基準の緩和に反対していましたが、今月、ようやく議会に基準を緩和する法案が提出されました。
停戦の兆しが依然、見えない中、戦争の長期化は人々の心に暗い影を落としています。