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【まだ間に合う】花見・歓送迎会…その悪酔い対策、あってますか?肝臓のプロ「ウコンを飲んでも…」

2023年3月25日 15:40
【まだ間に合う】花見・歓送迎会…その悪酔い対策、あってますか?肝臓のプロ「ウコンを飲んでも…」

東京の桜も満開を迎え、花見や歓送迎会でお酒を飲むことも増える季節。悪酔いしないためには「牛乳や油分のある食べ物で胃に膜を作る」、二日酔いは「ウコンやシジミ汁でなおる」…などの“対策”を聞いたことがある人も、多いのではないでしょうか。

しかし、それは本当に正しいのか?お酒で失敗しないためのポイントを、アルコール性肝障害が専門の加藤眞三医師(慶應義塾大学名誉教授 MOA高輪クリニック院長)と、日本酒学講師で日本酒品質鑑定士のおおくぼかずよさんに聞きました。

■飲酒前に牛乳を飲めば大丈夫?

――お酒を飲む前に牛乳を飲んでおけば酔わないのでしょうか?

加藤医師:
「これは全くの勘違いです。牛乳は胃の中のアルコールを薄めるためと栄養分をとるためとしてなら飲んでもよいのですが、アルコールの吸収を防ぐものではありません。脂質でもアルコールは浸透するのです」

「空腹のままお酒を飲むよりは、食事をとった方がアルコールの分解が早くなります。しかし、心配なのは脂質の多い食べ物、例えば唐揚げやチーズなどをおつまみとして食べることによって肝障害が進みやすいことです。日本人成人の約3分の1には肥満による肝機能障害、脂肪肝があります。飲酒による肝障害を進ませやすい食事として高脂肪食と鉄の過剰摂取があります」

■二日酔いの“定番”…ウコンやシジミに思わぬ“落とし穴”も

――二日酔いの時にウコンやシジミ汁を飲めばなおるのでしょうか?

加藤医師:
「ウコンやシジミ汁を飲んでも、アルコールの分解が早くなるわけではありません。一方で、アルコール性肝障害のモデルとして鉄を多く与えた動物は肝障害が進みやすいことが示されています。実はウコンやシジミなどには鉄が多く含まれているため、時々飲むことは構いませんが、毎日大量に摂っているとアルコール性肝障害を悪化させてしまう危険性があります」

■汗をかけばアルコールが“抜ける”?

――二日酔いになってしまった場合はたくさん汗をかいた方がいいのでしょうか?

加藤医師:
「アルコールの分解は肝臓で行われるので、汗や尿からは、ほぼ排出されません。脱水症状を防ぐために水やスポーツドリンクを飲むことは必要ですが、アルコールを一掃するという意味で水を大量に飲んでも、汗や尿からアルコールが抜けるわけではないのです」

「運動をすることや身体が温まるとアルコールの代謝が良くなることもありますが、汗からアルコールが排出されるわけではないので、酔いをさまそうとサウナやお風呂に入ることは、そのまま寝て脱水をおこしたり、溺死するケースもあるので危険です。家庭のお風呂での溺死は1年間に5000件以上(厚生労働省人口動態統計2019年)も起きていて、交通事故死亡者数の約2倍にもなります」

加藤医師:
「また、ゴルフに行くためなど、早朝の運転をする方は注意が必要です。例えば純アルコール合計60g(ビールなら500ML缶3本、日本酒なら3合、ワインならグラスに6杯)飲んだとしたら、9時間は空けないとまだアルコールが残っている状態です」

「もちろん個人差もあります。また、基礎代謝は年齢によっても異なり、20代に比べて50代以上では、2割も代謝が悪くなります。ただ、車を運転される方は9時間以上空けるようにしてほしいと思います」

■実は「燗酒」は悪酔いしにくい

日本酒はビールやワインと比べるとアルコール度数が高いものが多いので、同量を飲めば当然日本酒の方が酔います。日本酒は悪酔いしやすい、と思われがちですが、日本酒学講師で日本酒品質鑑定士のおおくぼかずよさんは「おすすめしたいのが“燗酒(かんざけ)”です」と話します。

おおくぼさん:
「一般的には温かいものの方が小腸などの血流も良くなり、アルコールが吸収されやすく、燗酒は脳で“酔い”を感じるスピードが冷酒より速くなると言われています。“雪冷え”など、5℃くらいの冷酒は体温との差が30℃以上あり、結果として脳で“酔い”を感じるまでに過剰な摂取をしてしまうことが多く、肝臓でのアルコール分解にも時間を要することにつながります」

つまり、なかなか「酔った」と感じない冷酒は、結果として飲み過ぎてしまうことが多く、アルコールが残りやすい。これに対し、すぐに「酔った」と感じる燗酒ならば、適量でストップしやすく、悪酔いもしにくいというのです。

――お花見など、肌寒い時期のアウトドアでの楽しみ方は?

おおくぼさん:
「酒類の多くは体を冷やす効果が高いですが、米や米麹を原料とする日本酒は酒類の中では最も体を冷やしにくく、中でも純米酒を燗で飲むのが最も体を冷やしにくい飲み方です」

「ワンカップをそのまま鍋に入れ、湯煎であたためて燗酒にしてみても良いかもしれません。燗酒は“燗冷まし”という楽しみ方もあり、特にしっかりとした酒質の日本酒を温めた後、温度が下がっていく過程も味わいが変わっておすすめです」

また日本酒造組合では、過剰な酔いを防止する方法として、お酒と一緒に水を飲むことを「和らぎ水」として推奨しています。

最終更新日:2024年11月13日 14:57
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