【特別天然記念物】ニホンカモシカによる農作物被害に悩む町を取材
取材班が向かったのは、都心から車で1時間ほどの東京・青梅市。民家の庭先にいたのは…国の特別天然記念物に指定されている、ニホンカモシカ。住民によると「一週間に1回は必ず見る」「10年前くらいから頻繁に見る」とのこと。
実は、二ホンカモシカは名前にシカとついているがウシ科の動物。二ホンジカと比べると、見た目が大きく異なる。生息するのは、山の中や急な崖など。
大正時代までは肉や毛皮を目的に捕獲され、昭和30年ごろには全国でおよそ3000頭にまで数が激減した。そのため、絶滅の恐れがあるとして、国の特別天然記念物に指定。保護を続けた結果、現在は10万頭ほどにまで増えたとされている。
カボチャやキャベツなどの野菜を育てている農家の男性が見せてくれた写真には…ビニールハウスの中でたたずむカモシカの姿が。春先に畑に現れ、カボチャの葉や、育つ前のキャベツなどを食べられてしまうという。カモシカによる農作物被害は、全国で年間およそ8700万円。
ただ、その対策は一筋縄にはいかない。実は…。
青梅猟友会
「カモシカは天然記念物のため、撃つということは絶対してはいけない」
「特別天然記念物」のニホンカモシカは原則、捕獲や駆除、ケガをさせることも禁止となっているためだ。(※各自治体の計画に基づいた捕獲を除く)
青梅市で農作物を栽培する男性は10年ほど対策に追われてきたという。
「カモシカは守らなきゃいけないが被害が出るとね」
「捕ってもらいたけど、なかなかそれもできない」
現在は、カモシカなどが畑に入ってこないように、と3重の柵を設置。1メートルほどの柵であれば、簡単に飛び越えてくるため、3つめの柵は高さ2メートル以上に。
シカやイノシシと違い、天然記念物として守られている一方で農作物被害をもたらすカモシカ。どう対応していけばいいのか、国や自治体では防護柵などの費用を補助する支援を行っているが住民の苦悩は続いている。
※詳しくは動画をご覧ください。(2023年6月14日放送「news every.」より)