「カラスと人の知恵比べ」 立ち上がった商店街のあの手この手 迷惑なフン・鳴き声に…
大量のカラスがゴミを荒らしたり、フンで街を汚したりする被害に、自治体が頭を悩ませています。カラスを追い払うため、新たな対策に乗り出す自治体もありますが、効果は出ているのでしょうか。「高い知能を誇る」というカラスと人の知恵比べを取材しました。
◇
26日朝、東京・新宿では街の至るところで、ゴミをあさるカラスの姿が見られました。フンや鳴き声などが迷惑なカラス。今、各地でカラスの大量発生が問題になっています。
20日、福島県郡山市で撮影された映像には、数え切れないほどのカラスの大群が映っていました。
映像を撮影した人
「もうストレートに『異様』っていう言葉が、まず最初にきますね。今まで見たことがない光景っていうことで、怖いという印象がありましたね」
この大量のカラスは、どこから来たのでしょうか。専門家に見てもらいました。
カラスの生態に詳しい 東京大学 樋口広芳名誉教授
「おそらく『ミヤマガラス』というカラスで、中国の東北部とかロシアの南東部とか、長距離を渡ってくるカラス。東北や北海道は温暖化の影響もあって、(カラスにとっての)冬の生活条件が好転してきている。なので、大陸からそれを学習して渡ってくるカラスが増えてきている」
ミヤマガラスは、ゴミをあさったり、人を襲ったりすることはないとされていますが、その大きな群れによるフンや騒音が問題になるといいます。
25日、実際に福島・郡山駅前の現場に行ってみると、やはりたくさんのカラスがいました。
街の人
「友達とかには、『実際にフンが降ってきた』とか結構、聞きます。普通に嫌です」
◇
この状況に立ち上がったのが、街の商店街です。地元警察に報告の上、レーザーポインターをカラスの群れに照射し、追い払う活動を始めていました。多くのカラスが逃げていきました。
郡山駅前大通商店街振興組合 佐藤晃正理事長
「このように追い払う能力は、かなりのものがありますので」
しかし…カラスがやってくる頻度に追いつけず、成果が出ていないといいます。
郡山駅前大通商店街振興組合 佐藤晃正理事長
「本当は1日に何度もやって、『この場所は危険な場所だ』と刷り込めれば来ないと思うんですけど…敗北宣言しました」
◇
カラスによる被害は、埼玉県越谷市でも発生しています。
街の人
「うちの(テレビの)アンテナも乗っかられて、折れちゃった感じで」
「(フンが嫌だから)雨降ってないけど、傘さして歩いたりとか、そんな状態」
街に住む人によると、ここ4、5年の間にカラスの数が急増し、頭を悩ませているといいます。
そこで、今年7月から越谷市が取っている新対策というのが…道路沿いの電柱に設置された“スピーカー”です。どんな音が流されているのか聞いてみると――聞こえてきたのは、カラスの鳴き声でした。むしろ、仲間が寄ってきてしまいそうですが、仲間からの危険信号だと思わせることで、カラスたちを追い払っているということです。
越谷市の担当者
「カラスが危険を知らせる鳴き声というところで」
しかし、スピーカーが設置してある交差点には、たくさんのカラスの姿が見られました。
越谷市の担当者は「やはり、カラスにも慣れとかがあるようでして、最近少しまた戻ってきてしまっているという現状がありまして…」と話し、現在、改善策を検証しているといいます。
「高い知能を誇る」というカラスと人の知恵比べは、まだまだ続きそうです。