【大人気】26mの大作! アニマル画家石村さんの挑戦と亡き母への想い『every.特集』
自閉症のアーティスト、石村嘉成(いしむら・よしなり)さん29歳。幼い頃から生き物が大好きでアクリル絵の具や版画で生き物たちを描いている。
絵を描く楽しさに気づいたのは、高校3年生のとき。わずか10年で飛躍的な進歩を遂げてきた。作り上げた作品は、600点超に。嘉成さんは「作品を見てくれた人が笑顔になったり、元気になってくれたりする気持ちが一番大事」と話す。
活動を始めて10年。名前が広く知られるようになってきた嘉成さん。今年の夏、大きな個展を開催し、今までにない大作に挑戦することに! 20枚に分割したキャンバスに122種類の生き物を1年かけて描き、全長26mの作品を完成させるという。お父さんのサポートを受けながらの挑戦。はたして、どんな作品ができあがるのか。
1994年、愛媛県新居浜市に生まれた嘉成さん。2歳のとき、自閉症による発達障がいと診断。こだわりが強くパニックを起こすことも。6歳になるまでしゃべることもできなかったそう。そんな嘉成さんが大好きなのが生き物。お母さんの有希子さんは「この子にも生かせる能力があるはず」と信じて、よく動物園に連れていったという。
しかし嘉成さんが小学5年生の時、有希子さんはがんで亡くなってしまう。自閉症の嘉成さんの将来を考え、一緒に勉強をしてくれたお母さん。教えられたのは…「新しいことに挑戦しなきゃダメだ」ということ。
大作に取りかかって3か月。序盤は太古の時代を描いていく。固定観念にとらわれない、ビビッドな色使いが嘉成さんの持ち味。
取材中、描いていたのはティラノサウルス。しかし突然、真っ白に塗り始める。
「あとから絵の具をのせるため。自分が考えた予想をやってみなきゃ分かりません」とあらためて描き始めた。
制作をはじめて8か月。20枚の作品作りは15枚目に。この日手がけていたのはキリン。テーマは「幸せな家族」だという。嘉成さんが、キリンの家族に重ね合わせたもの、それは…
「この子キリンは私。いつかは天国のお母さんに見てほしいな」
キリンの制作から1か月、佳境に入ってきた。
「怒った顔にならないように丸くして、ニコっとした表情、加減をしながら、力強く、力強く」
お母さんのキリンをピンクで塗り始めた嘉成さん。
「優しい色。ちょっと優しい色のイメージ」だという。いつも動物園に連れていってくれた優しかったお母さん。その思いを筆に込める。そして、キリンの「幸せな家族」は完成した。
制作期間およそ1年、ついに20枚の絵が1つに。恐竜たちが躍動する太古の世界から生きものたちが進化し、現代へとつながっていく。それは5億年の時を超えた命のリレー。その完成した大作とは…。
※詳しくは動画をご覧ください。(2023年12月11日放送「news every.」より)