コメ不足解消まで“残り2週間” 残り約40回分の食事をどう乗り切る?直売サイトの米の売上は12倍増! 高級米は完売! そうめんなど“置き換え”レシピの検索急増... 農水省「新米を焦らず待ってほしい」
各地のスーパーで相次ぐ、米の“すっからかん”状態。しかし、約2週間後には“待望の新米”が店頭に並ぶ見込みが立っているといいます。
米の品薄解消まで残り2週間、食事にすると約40回分。“今あるお米”で品薄を乗り切るため、農家や街の人々の間でさまざまな工夫が注目を集めていました。
品薄解消の兆し「早く新米が出てほしい」
名古屋市東区にある「スーパーヤマト大幸」。9月6日の朝、開店前のスーパーに並べられたのは1週間ぶりに入荷した米。普段は5キロの米を5袋いれているそうですが、この日は3袋多い、8袋が店頭に並べられました。
店の担当者は「先週は金曜日納品してもらってから、すぐなくなってしまって。そこから米が空の状態だった。新米が出ているので、今朝並べさせていただきました」と話します。
午前9時、開店前から並んでいたという男性が米を購入。「開店が9時と聞いていたんで、売り切れる前に来ようと。何軒かまわって無くて、入荷するよと話を聞いて」と、米を手にしながら安堵の表情を浮かべます。そのあとも、スーパーヤマト大幸店では、米を求める人が途切れませんでした。
開店から約15分、今日入荷した5キロの新米はあっという間に完売。しかし、こうした状況にも終わりがみえてきました。
「9月末、来月頭には全国の主産地の銘柄が出荷されますので。今のようにスーパーの売り場で、すっからかんの状態は解消します」と語るのは、JAあいち・農産販売課の中村隆志さん。
コメの品薄解消まで、あと2週間。食事にすると”約40回”。街では「4軒くらい回った。5キロで3,400円の米を買いましたけど、普段はそんな高いの買えない」、「子供がめっちゃ食べます。米が好きなので」などの声が。
米びつの中身が残り半分ほどだという夫婦は、「ご飯の量減らしてます。茶碗2杯を1杯半とか出来れば一杯とか」と話し、品薄解消までの“残り2週間”について、「(2週間)もつように頑張ってやっているので、早く新米が出てほしい」と、新米の発売を待ち望む声が聞かれました。
中京テレビ「キャッチ!」では公式LINEにて、コメの入手に関するアンケートを実施。『最近、“コメが買えない”経験しましたか?』という質問に対して、回答者852人中、449人が「はい」を選択。
コメを買えなかった人のコメントには、「お米売り場がふりかけやカップ麺売り場に。3店舗回りましたがなかったので、パックご飯を買いました」、スーパー勤務の女性からは「休憩時間まで店内のものを購入できないので、開店と同時に売り切れるコメは買うことができません」という回答が寄せられました。
しかし、この苦労も“残り2週間”。米農家では今年は、例年通り新米の収穫が見込まれており、米どころの新潟や秋田などでは、今週末から本格的な稲刈りが始まり、農家から流通するなかで、消費者に届くまで、あと約2週間といわれています。
高級米が完売!直売サイトの売り上げは去年の12倍
コメの品薄が続くなか、米農家から消費者に米が、“直接届く”ルートが大きな人気を集めています。
中京テレビ「キャッチ!」が訪れたのは、明後日から新米の収穫シーズンに入る岐阜県白川村。この村で、毎年10トンほどの新米を収穫する『大田ファーム』を取材しました。「今年は天候に恵まれて、とても良いと思います」と話すのは、『大田ファーム』の大田剛之さん。全国の品評会で、何度も金賞を受賞しています。
「だいたい3分の1が直売・ネット販売とか。あと3分の2はJAとかに出荷」と米の出荷状況を教えてくれた大田さん。実は、こちらの農家では、約4年前から農家と消費者をつなぐ産直通販サイト『食べチョク』で米を販売。
今年の新米も収穫前から予約が盛況で、大田さんは「8月の頭から予約を受け付け始めて。もう結構(予約が)入ってまして、終わりかけになってきてます」と明かします。
店頭におけるコメの品薄が顕著になったこの1か月。今年7月~8月、『食べチョク』によると、同サイトの新規登録者数が去年の同じ時期に比べて4割増加。米の売り上げは、12倍にも増えたといいます。
『大田ファーム』の米を保管している倉庫に行ってみると、『食べチョク』の定期便用のお米が残っているだけ。『大田ファーム』大田さんは、「普段売れない高いお米がぽんぽん注文が入って、びっくりしてます」と話し、続けて「(過去には)ないです。初めてです。こんなに注文入ったのは」と驚きを表します。『大田ファーム』では、2キロ2,600円の高級米が完売。例年にはないことだといいます。
「食べチョク」では、すぐに届く米の特集を企画。今、注文すると、最短で2~3日後に届くということです。
“かさ増し”レシピの検索が急増
「朝と昼はパン屋や麺にして夜だけごはん」、「もち麦を買ってあったのがあるので、混ぜて量を増やしたり」など、街の人々から今ある米で“残り2週間”を乗りきる様々な方法が挙がるなか、料理レシピサービス『クックパッド』では、“ある現象”が起きていました。
「かさ増しは、今週に入って特に急増していますね」と答えるのは、『クックパッド』広報部の小堀彰子さん。えのきやしらたきなどを使った、“ごはんのかさ増しレシピ”の検索率が上がっているいいます。
さらに、「いつもだったら暑い時期に伸びないような手作りパンが急に伸びたり、本来であればお盆が過ぎて落ちてくるはずのそうめんレシピが落ちていなかったり」と、去年と異なる検索状況を明かしました。
これは、クックパッド食の検索データサービス「たべみる」における、そうめんレシピの検索数を表したグラフ(2024年8月12日時点)。去年は7月末から減少し続けていますが、今年は8月に入り、いったん減ったものの、8月12日には一気に伸びています。この結果を踏まえて、『クックパッド』広報部の小堀さんは、「ごはんの代替レシピを作るに当たって、検索しているのかなと思っています」と話しました。
『クックパッド』には、コメの品薄を乗りきる多彩な“代替レシピ”のアイデアが投稿されています。
ボリューム満点の「照り焼きチキンパン丼」は、丼のごはんをパンで代用。分厚くカットした食パンをくりぬき、トースターで焼いた後に好きな具材を乗せたら完成です。ほかにも、トウモロコシをごはんの代わりにしたカレーやそうめんの上にナムルなどをのせた素麺ビビンバ、ご飯を炊くときに一緒にさつまいもを入れることで、“かさ増し”となる「さつまいもごはん」など、さまざまなレシピが登場。
農林水産省によると、コメの品薄の一番の原因は台風など災害被害の不安からくる“買いだめ”。新米は例年通り流通するので、あせらず、待ってほしいということです。