14年目の3・11 秋田県内各地でも鎮魂や追悼 復興の祈り
死者・行方不明者が災害関連死も含めて2万2000人を超えた東日本大震災から14年が経ちました。
風化させてはいけない、伝えていかなければならない震災の記憶と教訓をつないでいこうと、今年も県内各地で鎮魂や追悼、それに復興への祈りが捧げられました。
秋田市では、震災後に宮城県や福島県から避難してきた人やその支援者などが参加する交流会が開かれ、約50人が集まりました。
会場には、復興への祈りを捧げながら前に向かって進み続ける人たちのメッセージが掲げられています。
震災から14年、それぞれが、自分のペースで歩みを進めています。
秋田市のエリアなかいちには誰でも自由に弾くことができる、いわゆるストリートピアノが設置されています。
震災後の3月11日、ストリートピアノに乗せて歌声を響かせる活動が全国各地で毎年行われていて、今年、初めて秋田も加わりました。
「折り紙、85歳の方がストリートピアノのサポーターなんですって、この21会場全部に…」
県内でストリートピアノの交流活動を展開している今井卓也さん。
今井卓也さん
「震災から10年以上経つんですけども、まだまだ皆さんの心に刻まれてる。すごい大きな出来事でした。この日は人に感謝を持ったり、当たり前のことに幸せを感じられるような、そういった日に出来ればいいなと思っています」
今井さんは2年前、宮城県で開かれたイベントに参加したことをきっかけに、秋田での開催に向けて準備を進めてました。追悼の時間に合わせて、会場には少しずつ人が集まっていきました。
大仙市大曲の広場には約450個の灯ろうが並びました。
震災の記憶を忘れない。犠牲者の追悼や復興への願いを込め、「夢灯り」と名付けられています。
牛乳パックの内側に色を付け、文字や絵柄をくり抜いた灯ろう。もともとは被災地の岩手県宮古市で作られてきたものです。
大仙市の髙橋かおるさんが震災直後にボランティアで宮古市を訪れた際、作り方を教わりました。
髙橋かおるさん
「灯ろうが人の心に寄り添えると思うので、それによって癒されたりとか、抱えている物を少しでも和らげるものであると思うので、そういった気持ちを込めて作ってます。」
能代市の日吉神社です。14年前の3月11日、宮司が秋田市で東北6県の女性神職が集まる研修会に参加していた最中に、震災が起きました。
平賀優子宮司
「震災知らない若い世代が増えてきておりますので、記憶をなくしてはいけないということと、祈る心、また、人は謙虚に生きていかなければいけないなという思いを非常にこのごろ強く思っております。本当に平和で、みなさんが心が穏やかに過ごせる日々が来ることを願っております」
震災が起きてから毎年行っている復興祈願祭。今年は地元から24人が集まりました。なかには震災後、ボランティアで各地の仮設住宅をまわり長年、被災者の心のケアにあたったという人もいます。
ボランティア参加者
「私たちも8年間続いたときはやはり、また待ってるからねって被災者の人たちのその声でずっとなんか続けられてきたなって思ってます」「亡くなられた方、そしてまだ見つかってない方たちのためにも、やっぱり心を寄せてお祈りしたいなと思ってます」
そして迎えた地震発生時刻…
宮城県気仙沼市から避難 金雄二さん(74歳)
「たちまち車が浮かされて、浮かされた途端にさっと下がったっけダーンと水入ってきて、ドアあがねんだせば、逆にあのスライドするほうは開いたからほんで俺助かったの、後ろの座席のほうさ回ってスライドで空いたから助かって、まず胸まで水浸かったけんどもそれで逃げて、すぐ近所の塀さよじ登ったからほんで俺は助かった」
県内に避難してきた被災者は、すぐに自分の経験を話せた人ばかりではありません。このような会を通じて同じような経験をした人と交流したり、支援者の力を借りたりしながら少しずつ周りに話せるようになってきた人も多いといいます。
14年が経ち、震災を経験していない世代も増えてきました。会の参加者たちは、復興に向けて前を向きながら、自らの経験を語り継いでいます。
福島県浪江町から避難 林律子さん(77歳)
「うれしいっていう言葉を出せるように、ずっと努力してきました。この14年、もうね、下向いてもいいことないので、常に前向いて、"あんたはね前向きすぎだよ"なんてよく言われるんですけど」
福島県田村郡小野町から避難 高橋和美さん(73歳)
「我々せっかく未曽有の体験したんだからそれを伝えていかないと、どんどん消えていくんじゃないかと思って」「自然災害にパターンもマニュアルもないわけですよ、どんな形で襲ってくるかわかんない、ですからその瞬間に自分の身をどう守るか、そして自分だけじゃできないときは隣近所、ほんっとにそれが大事なことだと思いますよ」
能代市の日吉神社では東日本大震災と合わせて、岩手県の山林火災からの復興も祈る祝詞のほか、世界の平和を願う舞が奉納されました。
少しずつ歩みを進めている被災地。各地から復興への願いが寄せられました。
♪真っ白な雪道に春風香る わたしはなつかしいあの街を思い出す
12道府県の21の会場で行われた「ストリートピアノでつなぐ祈りのハーモニー」。亡くなった人たち、そして今を生きる人たちに全国で、同じ時間帯に歌で祈りを捧げました。歌う曲は「花は咲く」。震災復興応援のために作られたチャリティーソングです。
♪誰かの歌が聞こえる 誰かを励ましてる 誰かの笑顔が見える 悲しみの向こう側に
花は 花は 花は咲く いつか生まれる君にわたしは何を残しただろう
今井卓也さん
「まあいつわからない災害、それがいつ自分の身に降りかかるかも分かりませんので、日々感謝して、あの小さなことにこう幸せな気持ちをもって生きていければと思います」
追悼と復興への願いが込められた灯かり。
温かい光とともにメッセージが浮かび上がり、訪れた人たちが被災地に思いをはせました。
風化させてはいけない、伝えていかなければならない。
震災の記憶と教訓をつないでいこうと、今年も県内各地で鎮魂や追悼、それに復興への祈りが捧げられました。