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人口の2/3が“泳げない国”インドの水泳コーチに岡崎市のスイミングスクールが水難訓練を実施! 着衣泳に、陸でもできる卓上授業...水害大国ニッポンで培ってきた知識と経験を伝授

2024年11月9日 12:00
人口の2/3が“泳げない国”インドの水泳コーチに岡崎市のスイミングスクールが水難訓練を実施! 着衣泳に、陸でもできる卓上授業...水害大国ニッポンで培ってきた知識と経験を伝授

愛知県岡崎市の老舗スイミングスクールが、インドで水難訓練を実施しました。

インドの水泳コーチを対象に水難訓練を実施したのは、愛知県岡崎市にて50年以上の歴史をもつ『岡崎竜城スイミングクラブ』を親会社とする、「一般社団法人 パワーストローク。同スイミングスクールが30年以上続けてきた着衣泳を含む、水難訓練のカリキュラムを広めることに特化ししているといいます。

(一社) パワーストロークでは、岡崎市の幼稚園や小学校、企業などで水難訓練を実施。これまで、着衣泳だけでなく、プールのない地域や入水が困難な人に向けた「陸でもできる水難訓練」を考案し、卓上で学べる水難時における対応や知識などを発信してきました。

そんな活動を続けるなか、今回水難訓練を行ったのが、日本から遠く離れたインド。同団体によると、多くの水害を経験している国でありながら、インドでは国民の3分の2が“泳げない”といいます。また、WHOの発表によると、インドでは毎年5万人近くが溺死。そのうち3割は、15歳以下の子どもが被害に遭っています。

特に、2004年にスマトラ島沖地震を経験し、8000人近くの犠牲を経験しているチェンナイ市では、洪水などを含む莫大な水害が多発。しかし、インドでは水難に対する目立った対策は行われておらず、水害が起こるたび、再び多くの命が失われることが想定されます。

“水難訓練を行うことは、水害時に失われる命の数を一つでも減らすために必須”

そんな想いから、同団体では、インドのチェンナイ市にある『アクアティック・コンプレックス』のダイビングプールにて、インドの水泳コーチ約50名を対象に水難訓練を実施。各自の地域で子どもたちに水難訓練を実施できるように、ノウハウを伝授しました。

水難訓練では、水中で行うレッスンを予習する卓上授業「陸でもできる水難訓練」、水中授業では着衣泳や“浮いて待て”を基本とするアクションの起こし方など実践的な訓練を実施。溺れている人を発見した際のアクションの再現など、さまざまなシチュエーションを想定した訓練が行われました。

同団体では、アメリカやシンガポールでも水難訓練を展開。過去にはインドで水難訓練を実施しており、インドの女子大学で女子学生を対象に机上授業「サリー着用時の水難訓練」を行ったこともありました。

『岡崎竜城スイミングクラブ』の大森玲弥さんによると、サリーは体に巻き付けるインドの伝統衣装ですが、サリーを着た状態で水に入ると、足が取られてとても危険。

しかし、チェンナイ市で現地の女性たちにヒアリングをしてみたところ、「溺れていようと、人前でサリーを脱ぐくらいならそのまま死ぬことを選ぶ」と答える女性が少なくなかったといいます。
そこでサリー着用時の水難訓練では、着水時における数々の問題を考慮して、まずは“知ること”に注力。サリーを着た状態で溺れてしまったらどうなるのか、どのような体勢をとるべきなのかなど、講義という形で訓練を実施したといいます。

インドという国の文化や環境に合わせて行われた水難訓練。日本で行われる水難訓練と異なる部分はあるのでしょうか。

大森さんによると、『岡崎竜城スイミングクラブ』内で行われる水難訓練は、生徒の“泳力”に合わせて実施。泳力が高い子であれば、着衣の状態で水中で障害物競争をしたり、波を起こしてその中を泳いだりと、実際の水害を想定したハードな内容となっているそう。

クラブ外で行う水難訓練は主に2種類に分かれ、1つ目は地元の小学校や幼稚園等で行う、水中で「浮いて待て」をベースとする“泳力がない人”に向けた訓練。2つ目は法人などを対象に、プールがなくても行える机上での水難訓練です。

インドでは、泳力が低い人が多いため、日本よりもさらに基本的な内容を実施。“浮き身”をとることすらできない人が多くいるため、ベースにある理論はそのままに、大人を対象とした訓練でも、日本では子ども向けに実施している内容を行っているといいます。

言語や文化が異なっても、「命を守る」という課題は世界共通。これらの活動を記したプレスリリースは、「インド=泳げない国」という意外性のあるワードと、“スイミングスクールによる水難訓練”という真摯な取り組みなどが評価され、PR TIMES社主催の「プレスリリースアワード2024」にて「特別賞」を受賞。

審査員からは、「水害にみまわれることが多い日本で蓄積されたノウハウを海外へ伝えていく覚悟と信念を感じさせるリリース」と、発信面でも高評価を受けました。

授賞式スピーチにて、「インドでは人口の3分の2が泳げません。今年9月にも川で行われたお祭りで、46名の方がなくなる事故がありました。そのうち37名は、私たちがふだん日本のスイミングスクールで教えている同世代の子どもたちでした」と、インドの水難事故の現状を明かした大森さん。

続けて、「今回のプレスリリースを機に、メディアの方々にも私たちの取り組みを取り上げていただき、今後の活動に向けて大きな応援になっています」と、受賞の喜びと感謝を述べました。

愛知県岡崎市の老舗スイミングスクールが、世界に発信し続ける「命を守る訓練」。(一社) パワーストロークは、インドでの水難訓練について、「日本で積み上げられてきた経験値をインドの皆さんと共有することは、これからも人口が増え続け、さらに地球温暖化により水難の増加が予定されている今、とても大きな意味を持つと確信しています」と話します。

同団体では、今後も国内外で水難訓練が当たり前に行われる社会に向けて、さまざまな取り組みを進めていく予定だといいます。

最終更新日:2024年11月9日 12:00
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