"女子短大ばなれ"が加速!? 「2022年度から1億円を超える赤字が続いていた」 “存続困難”で26年度以降の募集停止を発表 愛知文教短期大学

“定員割れ”による、1億円を超える赤字が続く
愛知県稲沢市にある『愛知文教女子短期大学』が、2026年度以降の学生募集を停止することを発表しました。募集停止に至った主な要因は、定員割れによる赤字財政です。同学担当者によると、2024年度入学生より総定員充足率が50%を下回り、2022年度より経常収支も1億円を超える赤字になったといいます。
2023年度から2025年度の経営改善計画を策定して取り組むも、3年連続で未達成という結果に。“今後も財政的な改善が見込めない”という判断から、2026年度以降の入学生の募集停止に踏み切りました。
2022年度から、1億円を超える赤字となっていた『愛知文教女子短期大学』。いつ頃から、どれほどの割合で定員割れが起きていたのでしょうか。
担当者によると、2021年度に定員充足率が98%となり、初めて“定員割れ”を記録しました。その後、2022年度は85%、2023年度は60%、2024年度は47%と定員充足率は下降し、2025年度は44%の見込みだといいます。担当者曰く、経営上、定員充足率は70%以上が必要。しかし同学では、2023年度以降、70%以下の定員充足率が続いていたのです。
愛知文教女子短期大学を運営する、学校法人足立学園では、愛知文教大学、愛知文教女子短期大学付属の3つの幼稚園(ぶんきょう、一宮ひがし、はぎわら)を運営しています。今回の決定に伴う影響については、「幼稚園はこれまでと変わりなく運営できると考えている」とし、「同一の学校法人ということで、影響が全くないとは思いませんが、短期大学とは、修学年数、教育分野、所在地が異なりますので、愛知文教大学への影響は小さいと思います」と、愛知文教大学への影響についても答えました。
愛知県で“女子短大”ばなれ?
過去3年、幼児教育学科の就職率100%を誇るなど、多くの保育士・幼稚園教諭を輩出してきた『愛知文教女子短期大学』。「資格取得という観点からは、教員免許二種(短大)と一種(四大)の違いはありますが、本学で取得できる二種免許でも、学生の希望する就職先は確保できていると考えています」と、近年の就職状況について答えます。
近年、保育現場では“人手不足”が課題となっていますが、そもそも保育士を目指す学生が減少しているのでしょうか。
担当者は、近年の保育士希望者に傾向について、「本学は、幼児教育学科第1部(昼間制)と幼児教育学科第3部(昼間定時制:半日)がございます。両学科ともに入学者は減少傾向ですが、一定の学生確保ができている他大学もありますので、一概に“保育士を希望する学生が減少している”というデータはありません」と回答しました。続けて、「少子化、“女子短大ばなれ”は、定員割れにつながっていると考えています」と見解を述べています。
文部科学省が発表している「令和5年度全国短期大学一覧」によると、愛知県内の私立女子短大は全7校。
しかし全7校のうち、名古屋女子大学短期大学部は2025年度以降の学生募集を停止、岡崎女子短期大学は2026年度より共学とし、「岡崎短期大学」へ名称変更を行う予定であることを発表、名古屋短期大学は2024年度の新入生以降は共学化となるなど、転換期を迎える女子短大が増加しています。
近い将来、全7校のうち4校の女子短大がなくなる愛知県。時代の流れと共に、学生たちの進路にも変化が起きていました。