動物園の人気者たちも実は絶滅危惧種だった… 人間が脅かす動物の未来 動物を守るために私たちができること 「動物は環境を変えられない」
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絶滅危惧種のコモドオオトカゲが“地元好き”といわれる理由
日本から最短でも2日かかる秘境、世界遺産にも登録されている「コモド国立公園」にやってきた取材班。
さっそく、コモドオオトカゲがいるという島の中へ入ると、野生のコモドオオトカゲが、あちこちに生息していました。
神々しさすら感じる恐竜のような見た目に引かれ、思わず近づこうとすると、地元のレンジャーに止められました。彼らは噛んだ毒で獲物を仕留める超危険な猛獣。そのあごの力は、ヤギすらも骨までかみ砕くほど強いのです。
ここではコモドオオトカゲと人間が共存して暮らしているため、村にある家々はコモドオオトカゲが入ってこないよう、高床式で対策されていました。時には小学校の校庭の近くにも出没することがあるといいます。
そんなコモドオオトカゲが「地元好き」とは一体どういうことなのでしょうか。地元のレンジャーに話を聞いてみると…。
地元のレンジャー:
「コモドオオトカゲは泳げるのに、島から出ようとはしないんだよ」
昔から住むこの場所を安息の地にしているコモドオオトカゲは、世界中でもコモド国立公園のいくつかの島にしか生息していません。海を渡るリスクよりも、その地に残る方を選択していると考えられています。
この"地元好き"の生態によって、自らを守ってきたコモドオオトカゲ。しかし今、未曽有の危機にさらされる事態に…。
地元のレンジャー:
「絶滅危険度のランクが上がったんだ。原因は温暖化だよ」
コモドオオトカゲは現在約3500頭しかいませんが、国際自然保護連合は近い将来、海面上昇により生息地の30%が失われると予測。それにより、絶滅の危険度をさらにランクアップさせたのです。
私たちの経済活動がもたらした地球温暖化。それが遠いタロウのふるさとにも影響を与えていました。
動物園で人気の“あの動物”も実は絶滅危惧種
2024年、東山動植物園で行われた人気投票で上位になった動物の中にも、国際機関などが定める絶滅危惧種に指定されているものがいます。
【東山動植物園 人気動物ベストテン2024年】
1位 コアラ
2位 レッサーパンダ
3位 コモドオオトカゲ
4位 ゾウ
5位 ホッキョクグマ
6位 ゴリラ
7位 ライオン
8位 キリン
9位 トラ
10位 ツシマヤマネコ
この中で絶滅危惧種に指定されている動物は…なんと1~10位すべて。1位のコアラは森林火災や伐採などによりすみかの森が喪失、9位のトラは森林破壊や密猟など、それぞれ深刻な原因で絶滅の危機に瀕しています。
トラなどが生息する熱帯雨林では、アブラヤシを育てるために伐採が進んでいますが、アブラヤシからとれる「パーム油」は、お菓子や洗剤など、私たちの生活に身近なさまざまな製品で使われているもの。
動物たちの危機は、実は私たちの生活とも密接に関係しているのです。
チョコが絶滅危惧種を救う!? 売り上げの一部で“森を買う”
ジェイアール名古屋タカシマヤで開催中の「アムール・デュ・ショコラ」の会場で、動物たちを救う取り組みが行われていました。店頭に並んでいたのは、ホッキョクグマやゾウなど、絶滅危惧種の動物がパッケージに描かれたチョコレート。
絶滅危惧種の啓発を行う「絶滅動物園」 佐々木シュウジさん:
「イラストを提供して“久遠動物園”というチョコレートを作ってもらいました。お買い求めいただくと、寄付相当金額が入っています」
“久遠動物園”とは、豊橋市の「久遠チョコレート」が作ったこれらの商品を購入することで、商品価格の約15%が動物たちの環境保全のために寄付される仕組み。イラストとともに、その動物の減少理由なども知ることができます。
久遠チョコレート 夏目浩次社長:
「知ることは大きな一歩だと思っているので、小さいけれどきっかけをつくれたら」
この寄付金で守ろうというのが、急速に開発が進むボルネオの森。パーム油のための農園が作られ、動物たちがすみかを追われています。そこで考えたのが“森を買う”こと。大規模な開発を食い止められるので、動物たちを守ることにつながります。
おいしいチョコレートを食べて動物たちを守る。名付けて「優しい消費」。
絶滅危惧種の啓発を行う「絶滅動物園」 佐々木シュウジさん:
「動物たちは環境を変えられない。だから私たちは知ることが大切。これをきっかけに知る機会をどんどん提供していきたい」
絶滅危惧種を救うためにできること
他にも、動物を救う取り組みを進めているところがありました。
犬山市の日本モンキーセンターは、不要なスマートフォンを回収し、ゴリラの保全に役立てる活動に参加しています。スマートフォンに使われているレアメタルなどが原因でコンゴで紛争が起き、ゴリラのすむ環境が破壊されていることから行われているもの。
キャンパスノートの「コクヨ」では、使用済みのノートを新しいノートの表紙として再利用する活動を行っていて、現在、絶滅危惧種の動物の表紙を採用し啓発しています。
そして、コンビニなどの身近な場所でも販売されている、適切に管理された森の木材やリサイクル資源で作られた紙や木材製品に付けられる「FSCⓇマーク」の商品。こうした商品を購入することも、動物がすむ環境を守る行動につながります。
私たち一人ひとりが何か行動を起こさなければ、動物たちがつくる美しい景色や神秘の現象を、近い将来見られなくなってしまうかもしれません。タイムリミットは確実に迫っています。