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廃棄自転車を市職員が修理、無償譲渡 抽選倍率「60倍」の大人気 「物があふれる時代、リユースやリサイクルにも目を向けて」 愛知・一宮市の自転車リユース

2025年3月5日 15:37
廃棄自転車を市職員が修理、無償譲渡 抽選倍率「60倍」の大人気 「物があふれる時代、リユースやリサイクルにも目を向けて」 愛知・一宮市の自転車リユース
職員が修理した自転車を無償譲渡
愛知県一宮市で、粗大ごみとして排出された自転車に新たな命を吹き込む取り組みが注目を集めています。市民からも大人気のリユースの輪。その裏には職員が受け継いできた思いがありました。

廃棄から再生へ 一宮市が推進する自転車リユース

愛知県一宮市の環境センター内にある「リサイクル展示室」。そこに勤務する市職員が、粗大ごみなどで排出された自転車を修理して、市民に無償で譲渡しています。

市が自転車の修理を始めたのは2001年8月。担当者によると、同年4月に家電リサイクル法が施行され、世間的にもリサイクルなどへの関心が高まっていたことから、廃棄自転車をリユースする取り組みがスタートしたということです。

リサイクル展示室にずらりと並ぶ自転車はすべて職員が修理したもの。2か月ごとに希望者を募って無償で譲渡していますが、最近は希望者が殺到し抽選となっていて、倍率は高いときで50~60倍になるほど人気を集めています。

同市では、年間1000台以上の自転車が粗大ごみなどで排出されていますが、2024年度はその中の90台を修理し、市民へ譲渡しました。

「もったいない」から始まった自転車修理

自転車の修理を行っているのは、一宮市収集業務課の職員4人。粗大ごみとして排出された自転車の中から比較的状態が良いものを選び、ゆがみを直したり、さびを落として磨いたりと、新品同様によみがえらせます。

補助輪付きの子ども用自転車や28インチのロードバイクなど種類はさまざまですが、マニュアルなどはなく、技術は先輩職員から受け継がれてきました。

まだ使えるものが粗大ごみとして出されるのを見た職員が、「もったいないからなんとかできないか」と始めた自転車修理。

その志は現在も受け継がれていて、同市では2024年4月から、着られなくなった子ども服を引き取り、子育て世帯に無料で提供するリユース事業「いちみんクローゼット」も新たに始まっています。

こうした取り組みを通して伝えたいのは「物を大切に使ってほしい」という思い。担当者は「今は物があふれている時代ですが、リユースやリサイクルにも目を向けてもらえれば」と話します。

「もったいない」から始まり、四半世紀近く続いてきた一宮市の自転車リユース事業。人気の高さをみると、その思いは確実に市民にも伝わっているようです。

最終更新日:2025年3月5日 15:37
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