「生理への理解」は広がってる? “うめき声連発!?”の生理痛研修、フェムテック市場の急拡大、生理カルタ...女性が抱える生理の課題、解決に向けて異業種企業の動きも活発化
“生理痛”を疑似体験する研修やフェムテック市場の急拡大など、女性が抱える生理の課題をサポートする動きが高まっています。女性の社会進出が広がる今、生理中でも男女ともに働きやすい環境はどうすれば作れるのでしょうか。
研修で“生理痛”を疑似体験!うめき声連発から得る学び
愛知県武豊町にある、企業の一室。研修に集まったのは、主に40代以上の男性上司たち。ケーブルにつながったパッドを、おなかに貼り付けると機械を起動しています。
「もうドキドキです、初めての体験なので…」、「これでいろいろ知れれば良いなと思います」など、少々不安げな表情を浮かべる男性社員たち。実はこの機械で、女性特有の“生理痛”を疑似体験しようしていたのです。
「これはいかん、これは痛い!!」、「うわ~!なるほど」など、生理の痛みにうめき声をあげる男性社員たち。なぜ、このような研修が行われたのでしょうか。
「10月19日は国際生理の日。女性の痛みというものを女性だけでなく、男性も知る機会をつくらなくてはというのが始まりです」と、話すのは生理痛研修を企画した小澤裕介さん。その背景にあったのは、生理休暇の制度などはあるものの、実際には使いづらいという女性社員の実態でした。
社内アンケートの際、生理休暇について、「男性上司に言いづらい」、「職場の雰囲気として(生理休暇を)取りづらい」など女性社員たちが回答。男性側も力になりたいものの、“ハラスメント”との指摘を恐れている現状もわかりました。
「女性の方からも誰かが話題にしてくれたら、話すという意見もありまして。社内では『すれ違いの両思い』という言い方をしているんですけど、それを改善する一歩として、まずは生理に対して体験してみようと」と小澤さんは話します。
研修で使用したのは、大阪ヒートクール社の「生理痛VR体験装置」。「強」「中」「弱」の3段階の強さの電流で痛みを体験することができ、ランダムで痛みが発生するモードも搭載しています。
「これで『弱』?まじかぁ」、「あ~~いててて」、「これみんなやった方がいいですね」など、生理痛の疑似体験にさまざまな反応を寄せる男性社員たち。
一方、同じ疑似体験を受けた女性社員・稲津里香さんは、「実は『強』でやったんですけど、全然痛いって思わなくて」と体験の感想を回答。「じんじんきてるのは分かったんですけど、自分の生理痛の方が重いなっていうのは感じました」と話しました。
実際には、個人差も大きい生理痛。研修に参加した男性社員は、「この痛みを経験すると、こっちからも積極的に配慮していく必要がある。声かけしていかなければと思いました」と、自身の気付きを明かしました。
生理で大変なのは、“生理痛”だけじゃない
中京テレビ「キャッチ!」スタジオでは、番組コメンテーターの小田井涼平さん、てぃ先生が「生理痛VR体験装置」を体験。機械が起動すると、研修に参加した男性社員たちと同様に痛みに顔をゆがめる二人。てぃ先生は、「おなかの奥が収縮されている感覚」と痛みの感覚を表現しました。
大阪ヒートクール社によると、近年、生理痛研修は企業だけでなく自治体、教育の現場でも増加。実際の研修では、ランダムモードで数十分は装着することをふまえ、小田井さんとてぃ先生にもランダムモードでしばらく参加してもらうことに。
生理で大変なのは、生理痛だけではありません。布ナプキンメーカー「りぼん」では、“生理あるある”をカルタにした「生理カルタ」を販売。「寝起きのね シーツ見るとき 祈ります」、「立ち上がり ドバッと出たよ 座れない」、「二日目が 一番きつい 心も体も」など、生理中の女性が抱える悩みを表しています。
生理の悩みに最新技術が集結!
悩みの多い、女性の生理。そんな生理を乗り切る、お助けアイテムが今増えています。
『東京ビッグサイト』では、「第3回フェムテック トーキョー」が開催。“フェムテック”とは、「フィメール(女性)」と「テクノロジー(技術)」を組み合わせた言葉で、女性特有の悩みをテクノロジーの力で解決していく商品などをさします。
経済産業省よると、実は女性の生理痛や生理前の体調不良による、経済損失は年間6828億円!これを解消するため、フェムテック市場は急拡大しています。
『TIME LAB』が販売している「温熱・振動ベルト」は、生理痛を熱で軽減。
「へその尾から子宮までしっかり暖めて、振動でマッサージをして血流をよくするというテーマでつくらさせていただいています」と、『TIME LAB』の関川今日子さんは話します。1度に30分間暖めてくれるそうですが、この細かい振動の刺激も痛みを和らげる効果があるそう。
“丸いマーク”のついたブースで発見したのは、最大12時間使用できる生理用品「月経ディスク」。
商品紹介に携わる『ニッセイエコ』の大木千里さんは、「社会に進出していたり忙しい時間が多いと思うんですが、その中でお手洗いに行けないなどの不安は取れる」と商品の利点を挙げました。
そのほか会場内では、2枚の電極シートをお腹に貼り電流を流すことで痛みの症状を和らげる「月経痛緩和デバイス セラフィナF」など、技術の進化によって誕生したアイテムが展示されていました。
参加した女性たちからは、「こういうものの力を借りて軽減できるのなら、頼ってみたいなとかと思います。期待しています」、「ショーツとか前よりは増えてきたなと。我慢するのではなく、快適に過ごすことを後押ししてくれるなと思います」など声が寄せられました。
異業種も参入!寝具メーカーは生理用パンツを提案
生理への理解が深まるなか、会場では、異業種からの出展も目立ちました。そのひとつが、布団で有名な『西川』。
良質な眠りを追求する同社では、布団だけでなく、“生理の漏れ”を気にせずに眠れることを目指し、漏れの悩みを解消する「生理用オーバーパンツ」を開発。
同商品について、『西川』の横田拓之さんは、「裏返すとパンツのところ、防水の布があります。経血の漏れを防ぐ対策となっています」と話します。
女性が抱える生理の課題。男女ともに働きやすい環境をつくるべく、社会全体のサポートが進んでいました。
最新技術によって、さまざまなアイテムが誕生している“生理用品”。「キャッチ!」スタジオ内では、「フェムテック トーキョー」の様子を見ていた恩田千佐子アナウンサーが、「私の若いときにこれがあったらなと」と、急拡大するフェムテック市場に関心を寄せるシーンも。
「(生理中は)家で寝ていてもおなかが痛いので、痛み止めの薬を飲んで仕事をしていたんですけど、休むのがいいというわけではなくて、仕事をしながら皆さんに“理解してもらえること”もすごく大事なこと」と自身の経験を明かし、続けて「会議も1時間に1回、トイレ休憩を設けてくれると、女性が“今日ちょっと生理なんだけどな…”ということを知られずにトイレに行ける。そういうことも大事にしてほしいな」と、生理に関する課題解決への思いを語りました。