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PTA 委員辞めるには「免除の儀式」…3分の2の同意が必要 「勧誘マニュアル」存在も?【#みんなのギモン】

2023年12月2日 10:30
PTA 委員辞めるには「免除の儀式」…3分の2の同意が必要 「勧誘マニュアル」存在も?【#みんなのギモン】

日本テレビの情報提供サイトに「PTAで“勧誘”マニュアル」が存在するという投稿をいただきました。

PTAは、先生と保護者が協力しあって子どもをサポートするためのものです。ところがこの活動に実際に参加するとなると「忙しくて無理」という人がいたり「やりたくない」という人がいたりします。そこで人間関係で悩んでしまったり、不満がたまったりするケースが多いといわれています。

PTAに参加することで顔が見える関係性になるよさもある一方で、負担やプレッシャーを感じるものでもあります。

●勧誘の実態は?
●無理しない! 新たなPTA

以上のポイントを中心に詳しく解説します。

■PTAの実態…よかったこととは?

まずPTAとは、児童生徒の保護者(Parent)と教職員(Teacher)で構成する団体(Association)のことです。加入するかどうかは、保護者の「任意」になります。

登下校時の見守りや学校行事のサポート、広報や清掃活動など、活動は多岐にわたります。大変なこともあると思いますが、メリットを感じている保護者は次のように話します。

元PTA委員(40代会社員)
「学校行事では子どもがどうしたら喜ぶかという目的のために全員が集まっているので、やりがいがありました」

元PTA役員(40代パート)
「他の学年の保護者や先生と交流が深まったことがよかったです」

元PTA役員(40代主婦)
「先生たちが本当に忙しそうだからサポートにもなる」

■入会は“ほぼ強制”? 委員を辞めるときには「儀式が必要」?

ところが、関東のある小学校の現役のPTA会長によると、次のような実態もあります。

関東のある小学校のPTA会長
「入学したら『PTAに入会する』という選択肢しかない同意書を学校に提出し、提出しないと学校に呼び出しがあった」

PTAに入会することが、ほぼ強制に近いといえます。

関東のある小学校のPTA会長
「委員を決めるために保護者が集まったがなかなか決まらず、昼過ぎに始まった会は、夕方6時まで続き、保護者がずっと帰れなかった」

そして委員を辞めたい時は「免除の儀式」と呼ばれるものがあったそうです。
委員を辞めたいという保護者は、他の保護者の前で理由を述べ、3分の2の同意が得られないと辞められないといいます。

これでは、PTAをやりたいという人がどんどん減ってしまうことが懸念されます。

■役員を指名…セリフ書かれた「訪問時の参考マニュアル」とは?

別の学校では「訪問時の参考マニュアル」もありました。情報提供をもとに私たちが入手しました。

来年度のPTA会長や副会長などの役員を「引き受けてもらえませんか」とPTAの“指名委員と呼ばれる人たち”が家を訪れ説得する、その説得の仕方を記したマニュアルです。

大阪・高槻市のPTAのものですが、次のように書かれています。

1回目の訪問では、インターホンの場合「PTAの者ですがお渡ししたい物があるのですが」と言う、としています。

いきなり“指名委員”と言うと警戒して玄関を開けてくれない可能性があるため、“渡したい物がある”と言います。対面したら、「指名委員会の“全員一致”であなたが推薦されましたのでお願いに参りました」と切り出すといいます。

1回目はあいさつ程度に短時間で切りあげます。2回目の訪問では「考えて頂けましたでしょうか? 今日は“役職の説明”に参りました」と言って、ぐっと踏み込んでいきます。

「私などより○○さんの方が適任ですよ」と他の保護者の名前を出して、自分は辞退するケースでは「その方もいい方ですが、今回はあなたにお願いしたいです」と説得する、としています。

そして、最後に「良い返事を頂けるまで“何度でも参ります”」と、たたみかけるわけです。こうしたセリフが、マニュアルには1つ1つきちんと記されています。

高槻市の教育委員会はこのマニュアルが配布されたことを認めていますが、マニュアルを配った経緯について高槻市のPTA協議会は、取材には「お答えできない」としています。

■退会で…「ひどい仕打ちを受けた」 ネットでも同様の声が複数…

このようなPTAのあり方に疑問を感じて、PTAを退会したという人もいました。取材を受けてくれた保護者の方は、ひどい仕打ちを受けたといいます。

高槻市で“指名委員”経験 PTAを退会した人
「あいさつしても(PTA会員の保護者から)無視されるように私自身もなってきて、うちの子だけが違う遊びをさせられる。みんなが集まってカードで遊んでるのに、うちの子だけ自転車で走っておいでって、違うことをさせられるってことがあった」

ネット上にも「この方と同じような目にあった」という声が複数あがっています。

さらに別の保護者は、PTA加入を断ると、担任教師を通じてPTA会長からの手紙を渡されたそうです。そこには「学年活動の記念品や夏祭りの無料引換券、卒業に関する費用などはPTA会員の方々への還元だから、未加入の方は『対象外』になってしまいます」と、書いてあったといいます。

この保護者は「公教育の場でPTA会員か否かで子どもに差別があるのはおかしい」と怒っています。

■PTAを“見直したら”…入会率が約9割に 「無理しない!」学校

そこで2つめのポイントが「無理しない!」。PTAのあり方を見直した学校があります。

埼玉・草加市立松原小学校はコロナ前、保護者が事実上“全員PTAに自動加入”だったのですが、コロナ禍でPTA活動が休止したこともあり、学校側と保護者が話し合ってやり方を変えたといいます。

PTA活動を「やった方がいい」「やりたい」と考えた保護者が、各活動を「サークル」として立ち上げました。今は本の読み聞かせ、校内清掃、朝の見守りなどが活動内容で、保護者はそれぞれ自分が「やりたい」「やれるな」と思う活動に自由にエントリーができる形にしました。

PTA会費も、支払い義務のない「支援金」に変更して、集まったお金の範囲でできる活動をするということです。そのため、広報誌づくりなどなくなった活動もあるといいます。現在、入会率は約9割(88%)です。

この学校のPTAの代表は次のように話します。

PTAボランティアセンター長 大上哲治さん
「やらされてPTA活動してるとつらいじゃないですか、親が。それで参加していても学校のためになっているのかもしれないが、子どもを置いて活動するとかそんなことになっていたら、結局子どものためにはなっていないと思うので。問題意識を持って自主的に前向きに参加できるPTAになれれば、変わっていけるのではないかと思います」

   ◇

「できる範囲でやる」「楽しみながらやる」というのは、大事なポイントです。時代とともに価値観も変わりつつある中、学校と保護者の向き合い方を改めて見つめ直す時期にきているのかもしれません。

(2023年12月1日午後4時20分ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

●あなたの身の回りの怒りやギモンをお寄せください。

お寄せいただいた情報をもとに日本テレビ報道局が調査・取材します。

#みんなのギモン

https://www.ntv.co.jp/provideinformation/houdou.html

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