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【パリパラリンピック】3大会連続のメダル獲得へ「一人の目標じゃない」 マラソン日本代表の道下美里選手 支えるのは“チーム道下” 仲間とともにゴールを目指す 福岡

2024年7月16日 19:54
【パリパラリンピック】3大会連続のメダル獲得へ「一人の目標じゃない」 マラソン日本代表の道下美里選手 支えるのは“チーム道下” 仲間とともにゴールを目指す 福岡
“仲間とともに”ゴールを目指す

8月28日からパリで開催されるパラリンピックに向け16日、日本代表の結団式が東京で行われました。福岡在住の道下美里(みちした・みさと)選手は今回、3つ目のメダルを目指します。ケガを乗り越え、47才となった今も挑み続ける理由を聞きました。

■マラソン女子 視覚障がいクラス・道下美里選手(47)
「もう一回、パリの舞台で戦いたいと決めた時から、一人の目標じゃないんですよね。」

女子マラソン視覚障がいのクラス、日本代表の道下美里選手(47)。山口県下関市出身で、現在は福岡を拠点に活動しています。

2021年の東京大会では金メダル、2016年のリオデジャネイロ大会では銀メダルに輝きました。3大会連続で出場を決めたパリパラリンピックへの思いに迫ります。

■田嶋優気さん(41)
「左側にカメラがいらっしゃいます。」

■道下 選手
「おはようございます。きょうはよろしくお願いします。」

■田嶋さん
「はい、行きましょう。段差を越えます。」

道下さんの練習拠点の一つ、福岡市の大濠公園です。道下選手がトレーニングを始めると、自然に仲間たちが集まってきます。

道下さんなど視覚障害がある人が走る「ブラインドマラソン」では、伴走者が「きずな」と呼ばれる伴走ロープを持って誘導します。

道下選手は右目が全く見えず、左目の視力もわずかなため、トレーニングの際も伴走者の協力が欠かせません。

こちらは、道下選手の「見え方」を再現した映像です。右目は真っ黒で、左目は近くのものがぼんやりと見えていることがわかります。

■道下選手
「普段は杖をついて、一人で歩くのもおぼつかない。でも、伴走の方がいてくださるだけで安心感があるし、自由になれた感じがして本当に幸せ。」

小学4年生の時に、進行性の目の病気にかかった道下選手。中学生で右目の視力を失い、20代の頃には、左目の視力も低下しました。

その後、通っていた盲学校で、ダイエットのために始めたというのがランニングです。やがて大会に出場するようになり、2020年には当時の自身の世界記録を塗り替えるなど、まさに世界のトップランナーとなりました。

道下選手は、ことし47歳です。ここ3年は度重なるケガに悩まされましたが、競技を続けてこられたのには、理由があるといいます。

■道下選手
「2回大きな故障を経験して。一番は本当に仲間の支えですね。」

それは"チーム道下"と呼ばれ、伴走や送迎、給水などさまざまな形で道下さんを支える総勢100人を超える仲間たちの存在です。

福岡での練習では現在、12人の市民ランナーが曜日ごとに伴走を分担しています。パラリンピック本番では、関東在住のランナーが伴走を務める予定です。

福岡での練習をサポートする樋口さんと田嶋さんに、“チーム道下”について聞きました。

■樋口敬洋さん(48)
「みんなが道下さんを中心に集まっている感じがすごく好きなので、自分にとっては本当に大切な組織、チームというか運命共同体のようなものです。」

■田嶋優気さん(41)
「福岡で僕や樋口さんがしっかり伴走して調子を整えて、本番で走る伴走者にうまく、きずな・バトンを渡せるようにするのが役割。一緒に戦っている。一緒に走る気持ちでやっています。」

■道下選手
「練習を支えてくれている仲間には本当に感謝しかない。本当にいつも力をいっぱいもらっているので。すみません、言葉にならない。」

およそ1か月後に迎えるパリパラリンピック。道下選手は、仲間たちとともにゴールを目指します。

■道下選手
「私がやりたいと思った時から、みんなが、周りが一緒に動いてくれて、一緒にそこに向けて準備している。3大会連続のメダル獲得を目指して、しっかり頑張りたいと思います。」

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