【詳しく】ゾウ4頭が到着 オリから鼻 親子ゾウは寄り添って元気 ミャンマーから福岡まで飛行機で4000キロの旅 福岡市動物園
福岡市動物園に30日、ミャンマーからアジアゾウ4頭が到着しました。ミャンマーからの距離は4000キロ。ミャンマー内の飼育地を出発してから28時間をかけてやってきました。
4頭とも体調は良好で、健康上の問題はないということです。
福岡市動物園に到着したアジアゾウは、14歳のオスと3歳、12歳、22歳のメス3頭、合わせて4頭です。
4頭はミャンマーのゾウの飼育地を日本時間の29日午前10時ごろ出発しました。午後9時50分ごろ、貨物飛行機に乗せられてミャンマーの空港を飛び立ち、給油のためタイの空港を経由して、4000キロの距離を旅して、30日午前7時15分ごろ、北九州空港に到着しました。
検疫や通関を経てクレーンでオリごと2台のトラックに積み替えられ、午後2時ごろ、福岡市動物園に到着しました。
クレーンでオリごと降ろしたあと、ゾウ舎に誘導し、午後7時ごろ、搬入が完了しました。
ゾウの体重は6月時点の推定で大人の3頭がそれぞれ4.3トン、4.2トン、3.7トンで、子どものゾウ1頭は2トンです。
輸送用のオリは分厚い鉄板と鉄骨を使った特注品です。
大人のゾウにはそれぞれ、奥行き3.1メートル、幅1.85メートル、高さ2.8メートルの1.5トンのオリを、子どものゾウにはそれより少し小さめのオリを用意しました。
オリの中には、足を痛めないようウッドチップが敷き詰められ、ミャンマーから獣医1人と「マフー」と呼ばれるゾウ使い3人が付き添いました。
旅の途中でサトウキビやパイナップル
2024年の初めごろから輸送に使うオリの中でエサを与えるなど、慣れさせる訓練を続けてきました。
4頭のうち2頭は親子で、安心させるためオリを隣り合わせにして、互いに近くにいることが分かるように運んだということです。
旅の途中ではエサのサトウキビや水も与えられました。北九州空港に到着後は、スイカやパイナップルを与えたということです。
ミャンマーは現在、雨季で平均気温は26.9℃と、1年間で低い時期だといいます。
連日、猛暑日が続く福岡の暑さに備えて、北九州空港では氷を詰めた箱を一緒に積んで、暑さ対策をしながら運びました。
はな子が死んで以降、ゾウがいなかった
福岡市動物園では、40年以上飼育されていたアジアゾウのはな子が2017年に死んで以降、ゾウがいないままでした。
福岡市は2019年に姉妹都市のヤンゴン市があるミャンマー政府と覚書を交わし、2022年春ごろの受け入れを目指していました。
しかし、現地の治安情勢や新型コロナの影響で、飼育について学ぶための職員の派遣ができず、2年以上遅れての受け入れとなりました。
輸送にかかる費用は約9500万円で、円安や燃料費の値上がりで当初の見込みを上回っているということです。
ゾウ舎をリニューアル
ゾウの受け入れを前に、福岡市は18億円かけてゾウの飼育エリアをリニューアルしました。
運動場はこれまでの3倍の広さとなり、バナナやリンゴを穴に隠して、探す様子を観察できる仕掛けや、もともとの傾斜を利用してゾウが坂を上り下りする坂も作りました。
ゾウ使い3人が3か月間、滞在
「マフー」と呼ばれるゾウ使いの3人は、3か月間、福岡市に滞在し、園の飼育員に4頭のゾウの性質を伝えながら、体調管理や飼育についてアドバイスします。
4頭は新しい環境に慣れさせたあと、早ければことし10月末の一般公開を予定しているということです。