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ド派手衣装を着る理由 二十歳の門出祝う若者の思いと親の思い「感謝してもしきれない」 北九州市

2024年1月8日 17:40
ド派手衣装を着る理由 二十歳の門出祝う若者の思いと親の思い「感謝してもしきれない」 北九州市
二十歳の門出祝う式典 若者の思い親の思い

1月8日は「成人の日」です。現在の成人年齢は18歳ですが、福岡県内では従来通り、20歳の門出を祝う式典が各地で開かれました。北九州市では、あの“ド派手衣装”を発信する新たな取り組みも行われました。

福岡市中央区の貸衣装店では8日朝、20歳を祝う式典に参加する人たちへの着付けが進められていました。当日の予約は約80人で、午前5時半からスタッフ総出で対応したといいます。

■母親
「かわいいです。」

福岡県内では2023年度、5万390人が20歳を迎えます。

成人年齢が18歳に引き下げられた2年前に“成人”になった世代です。

■福岡市から
「18歳で“成人だよ”と言われて、また今“成人だよ”。大人の自覚を持たないといけない。ちょっとそわそわする。」

■吉村史織フィールドキャスター
「開場まであと15分です。きらびやかな衣装をつけた皆さんが続々と集まってきています。」

福岡市では8日午後2時から「はたちのつどい」が行われました。

新型コロナの影響で去年までは2部制で式典を行っていましたが、ことしは4年ぶりに通常開催です。

これからの目標を聞きました。

■新成人
「ことし就職なので就職して頑張りたい。これからは(親に)恩返しできたらいいなって。」
「将来は外資系企業で働きたい。海外へ行きたい。小さい時から夢があって海外に憧れがあって、頑張って働いてお金を貯めて海外に住みたいなって思います。」

一方、若者たちの“ド派手衣装”で知られる北九州市の式典には、約8000人が出席しました。

■新成人
「芦屋さいこ~!」

こちらも2023年度の20歳が対象です。

■柴田ダイヤさん
「(衣装は)100万円ほど。(準備は)去年の1月から。成人式という実感ない。」

■岩口翼さん
「子育てを一番に頑張りたいです。今までお母さんたちがしてきているから甘えていた部分があって、いざ自分がするとなったら(子育ての)大変さを知った。」

北九州市の“ド派手衣装”は20年ほど前から広がったと言われています。

全国的な知名度が高まる一方、“式典にふさわしくない”などと批判的な意見も寄せられ、過去には行政が“きちんとした服装”での出席を呼びかけた時期もありました。

去年就任した北九州市の武内市長は、真っ赤な“ド派手衣装”で現れ、若者たちにエールを送りました。

■武内市長
「どんどんチャレンジをしていく、あるいは誰かの価値観を否定するのではなく、みんなで応援していく。そういう街を作っていきたいという思いで、これからもやっていきたい。」

若者たちが派手な衣装を身にまとうのには、それぞれ理由があります。

■黒土翔さん
「これ(衣装)を借りるために仕事を頑張る感じで、これからは親に恩返しできるように仕事も頑張っていきたい。」

大学2年の中山晴輝さんもその一人です。衣装には両親の思いがあったといいます。

■中山晴輝さん
「白と金で、汚くなりすぎず、きれいに派手な格好ができるのかなと。両親が結婚式の時のお色直しで着てほしいということで買ってもらった。」

晴輝さんが生まれた時、両親は20歳でした。そのため2人は当時の成人式に参加できなかったといいます。

■晴輝さんの父
「自分たちが成人式に出られなかった分、余計に親も気合が入ってます。結婚式で男の子もお色直しで着られたらいいなと思って(買った)。」

こうした思いが詰まった衣装を“否定せず”「アート」として魅力を発信できないかと、その実現を目指してド派手衣装で“ランウェイ”を歩いてもらうイベントが行われました。

協力したのは北九州市の貸衣装店『みやび』です。成人式で貸し出した衣装をアメリカ・ニューヨークのファッションショーで披露したこともあります。

晴輝さんもランウェイを歩きました。

■中山晴輝さん
「こんな袴を用意してもらって、こんな舞台を準備してもらって、感謝してもしきれない。」

両親も息子の姿を見守りました。

■晴輝さんの父親
「親はいつまでたっても親でしょうから、一つの成長過程として、着せてあげられてよかった。」

二十歳の門出を迎えた若者たちとその家族にとって、忘れられない一日となりました。

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