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「壁は超えるためにある」古い家の土壁を解体した際に出る古土100%で新たな土壁を作る技術に挑む【徳島】

2024年12月4日 19:00
「壁は超えるためにある」古い家の土壁を解体した際に出る古土100%で新たな土壁を作る技術に挑む【徳島】
古い家の土壁を解体した際、出るものを「古土(こつち)」と言います。

土としての強度が失われているため、ほとんどの場合は捨てられてしまいますが、その古土を100%使って新たな土壁を作る技術に挑んだ男性がいます。

まったくの未経験からの挑戦、しかし「壁は超えるためにある」。



アズマ建設 岩水謙典さん(38))
「土壁って何って感じでした」

こう語るのは、徳島市の建設会社に勤める岩水謙典さん(38歳)です。

岩水さんは2024年1月、社長の勧めで今の会社に入り、土壁の研究を命じられました。

とにかくまずは情報収集から。

調べていくと、土壁を作るには、古い土壁から出た「古土」を再利用することがあるとわかりました。

しかし強度が失われているので、普通は新しい土を混ぜて使います。

岩水さんは考えました、資源のロスをなくすため、古土だけで新しい土壁が作れないか。

試行錯誤の末たどり着いたのが、藁と水を混ぜ、古土を発酵させることでした。

こうして何か月もかけて出来た土壁は、新しい土の土壁と遜色のない強度でした。

しかし、それでも不安はありました。

土壁は藁の配合や、仕上げの仕方によって表情が変わります。

岩水さんは顔料で色味を変えたものや、あえてひび割れをデザインに取り入れたものなど現代風にアレンジした土壁を作り出しました。

また岩水さんは子どもたちに向けて、古土で泥だんごを作るイベントを始めました。

(アズマ建設 岩水謙典さん(38))
「古土を子どもたちに触れあってもらうように何かできないかなって考えたところ、ピカピカにする泥だんごが結構いろんなところで流行ってて、これを僕もしてみようと。いろんなたくさんの子どもの笑顔を、泥だんご体験を通して見えるのですごく嬉しいです」

とはいえ、まだまだ挑戦は始まったばかり、夢や目標はたくさんあります。

それでも岩水さんは立ち止まることはありません、「壁は、超えるためにある」。

(アズマ建設 岩水謙典さん(38))
「今は知識も経験もなくて技術も全くないですけど、そのうち『土』っていうたら岩水に聞けっていうぐらいの存在になりたいなと思ってます。頑張ります」


いま岩水さんは、生成AIに土壁の配合を考えてもらうなど、様々なものを活用しながら新たな土壁作りに取り組んでいるそうです。
最終更新日:2024年12月4日 20:58
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