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物価は九州で3番目に高いのに…「なぜ?」熊本の最低賃金は最低水準 全国2番目の低さ

2024年9月5日 18:59
物価は九州で3番目に高いのに…「なぜ?」熊本の最低賃金は最低水準 全国2番目の低さ
熊本県内の最低賃金について話し合う審議会は、10月5日から適用される最低賃金を昨年度より54円引き上げ、952円とすることを決定しました。

この952円を九州8県と比べてみると、福岡が992円、佐賀が956円、長崎が953円、大分が954円、鹿児島は953円で、宮崎と沖縄は熊本と同じ952円です。このように熊本の952円は、九州で最も低い水準です。

また全国平均は1055円となっていて、熊本は全国で2番目に低い金額となっています。今後、全国平均に近づくような賃上げは期待できるのでしょうか?九州で最も低い水準となった熊本の最低賃金について、まちの人に聞きました。

■大学生
「1人暮らしをしているので、もうちょっと高い方が安定して生活できるかなと思います」

■子育て中の女性
「スーパーに行ったら、いつも通りに買い物してもそんなに買ったかな?というくらい金額かかるので、物価が高いと思います」
Qそういう意味でも賃上げしてほしい?
「そうですね」

総務省がまとめた地域ごとの物価の水準をみると、全国平均を100として熊本県は98.9。九州8県では3番目に高く、決して物価が安い地域というわけではありません。それなのに、熊本の最低賃金はなぜ九州で一番安いのか?熊本労働局の担当者に聞きました。

■熊本労働局労働基準部賃金室 吉田総一室長
「熊本県の審議会で色々な指標や状況を判断して公益委員が決めましたので。結果的に、他県が熊本県よりも高い額で決定したというところなので何とも言えないところですね」

それぞれの都道府県で設置した審議会で決まる最低賃金。労働者側と使用者側が議論し、有識者から任命される公益委員が、生活費、賃金の状況、企業側の支払い能力、この3つの項目をもとに金額を決めるといいます。

一方、関係者が注視するのは大手半導体メーカー・TSMCの進出です。熊本の賃金相場よりも高い給与水準で人材の確保に動いています。

今後の熊本の最低賃金について、日本銀行熊本支店の田原謙一郎支店長は、5日の記者会見で次のように話しました。

■日銀熊本支店 田原謙一郎支店長
「少なくともおととし、昨年、今年とみていくと、徐々に賃上げの動きというのが中小企業、規模の小さい企業も含め徐々に広がっている。経済全体が回復傾向をたどる中で、賃上げの動きというのが規模を問わず徐々に広がっていくことを期待しています」

【スタジオ】
また、賃金をめぐっては、男性と女性の格差も課題となっています。去年のフルタイムで働く男性の賃金水準を100とした場合の女性の水準は75.7となっています。

賃金差は地方で比較的大きな傾向にあります。背景には、管理職に占める女性の割合が低いことや、出産で仕事を辞めるなど、女性の平均勤続年数が短いことがあげられています。

ただ、労働局の担当者の取材になかで、ハッとさせられた一言がありました。

■熊本労働局雇用環境・均等室 狭間美恵室長
「配置や昇進とかに、アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)や、性別役割分担意識というのがあると、最終的には賃金の格差に影響を及ぼすといわれております」

例えば営業職は男性、事務職は女性など、職業に対する性別の思い込みが、結果的に賃金の格差を生む根源になっているといいます。

■熊本労働局雇用環境・均等室 狭間美恵室長
「配置で賃金の差が生まれているのか、昇進・昇格の差で生まれているのかというのを、(企業側が)しっかりと見直すことが必要なのかなと思っています」

最低賃金の見直しだけでなく、女性の職場環境の改善にも社会全体で取り組む必要がありそうです。

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