高森町で特別天然記念物のカモシカを撮影『熊本の生息は40頭』なぜ人里近くに?
今年3月、高森町で撮影された動画。ある動物がじっとこちらを見ています。専門家によりますと、この動物は「カモシカ」とみられます。天然記念物の中でも価値が高い「特別天然記念物」に指定されています。本来、険しい山の中にいるそうですが、近年、人里に現れることが増えているそうです。
■熊本野生生物研究会 坂田拓司会長
「目撃情報が結構多く上がってきています。多分春先になって、道路際の若い柔らかい草を食べに出てきてるのではないかなと思っています」
撮影された現場は、高森町役場から車で10分ほどのところにある「千本桜」がみられるトンネルの近くです。カモシカに出会えるのか?14日、緒方太郎キャスターが現場の付近に行きました。
■緒方太郎キャスター
「映像が撮影されたのは、高森峠近くの国道です。近くを歩いてみますと、カモシカ注意と書かれた看板が置かれています」
残念ながら、カモシカに出会うことはありませんでした。
カモシカは本来、人里離れた険しい山の中に生息しています。にも関わらず、ここ数年、高森町や山都町を中心に山林や車道脇での目撃が増えています。その背景に何があるのでしょうか。
■高森町教育委員会 井鍋誉之社会教育係長
「ニホンジカが増えたことによってエサが少なくなって、縄張りが荒らされたことにより、どうやら下に降りてきているといわれています」
専門家によりますと、カモシカは本来、シカより標高の高い場所にいるそうです。しかしシカの増加でエサが減ったため、生息する範囲を広げたと考えられています。
他県では、カモシカとみられる動物が住宅街で見られたケースもあります。静岡県内の交差点で停車中のドライブレコーダーの映像には、突然、正面から動物が猛スピードで走ってきました。焦げ茶色の毛に小さなツノが生えたカモシカとみられます。
全国で相次ぐ、カモシカの目撃情報。カモシカは特別天然記念物のため、故意に傷つけると、罰則の対象となります。
熊本県内ではわずか40頭と推定されるカモシカを見かけたら、どう対応すべきなのでしょうか?
■高森町教育委員会 井鍋誉之社会教育係長
「まずはそっと見守っていただきたいなと。所管する教育委員会に連絡していただきますようお願いします」
【スタジオ】
(平井友莉キャスター)
シカが縄張りを荒らしたことで、カモシカが標高の低いところに来た可能性があるんですね。
(緒方太郎キャスター)
ちなみにこちらは、視聴者の方が撮影した嘉島町の緑川沿いを走るシカとみられる動物の群れです。このシカも、住宅街の近くに現れるケースが全国的に相次いでいます。
熊本野生生物研究会の坂田拓司会長は、「シカは興奮状態になるとオスはツノがあるので特に危険。もし見かけたら近寄らず、市町村の役場に連絡してほしい」としています。