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小学校で飼育する母ヤギの出産の日 お世話してきた児童が見た「命の誕生」

2025年3月12日 21:20
小学校で飼育する母ヤギの出産の日 お世話してきた児童が見た「命の誕生」
生まれたての子ヤギ

去年、熊本市の小学校にやってきたヤギの親子。毎日お世話を続ける中、母親のヤギが出産の日を迎え、子どもたちが命の誕生に立ち会いました。

熊本市東区の託麻南小学校。子どもたちが自然と集まる場所があります。

■児童
「トモ~おいで~」

去年11月。ヤギの親子、妊娠していたお母さんのトモ(当時4)と、双子の子ども、アナとエルサ(1)がやってきました。
学校での動物の飼育は年々減少しています。そんな中、託麻南小学校では1年生を中心に学校やPTAの力を借りながらヤギの世話をしています。飼育を通して子どもたちに伝えたいこと…。

■ヤギ飼育を提案・坂口静磨教諭
「やっぱり一番は命の大切さとか尊さに気づいてほしい」

ヤギが来たばかりの時は、こわがっていた子どもたち。2か月経つと、目線を合わせてエサを与える姿が日常になりました。

12月。母親のトモに変化がありました。

■児童
「赤ちゃんがお腹にいる」

出産を控え、お腹が大きくなっていました。赤ちゃんの成長を知るため、子どもたちはトモの体重を測ることに。でも、なかなか体重計に乗ってくれません。そこで安心して乗ってもらえるようアイデアを出し合い、再挑戦です。さらに近所の会社を回り、あまった木の板などを譲りうけ遊び場を作ったり、工作が得意な子どもが書いた設計図をもとに、寒さをしのぐ小屋を作ったり。相手を思って行動する心が育まれていました。

■坂口静磨教諭
「まずたくさん失敗する経験から、 そこから次にどうすればうまくいくかというのをしっかり子どもたち考えてくれましたので自信にもつながるし、これからのまたいろんな発想にもつながってくると思う」

出産予定まであと4日。命の誕生と向き合うことで、子どもたちに自分の命も大切にしてほしい…。獣医師から赤ちゃんが生まれる仕組みを教わります。

■獣医師・米村知憲さん
「ケーキ屋さんからおうちに持って帰るとき、どうやって持って帰る?」
■児童
「箱に入れる」
「大事に持って帰る」
■獣医師・米村知憲さん
「大事に持って帰るね。赤ちゃんも一緒なんだよ。まずケーキの箱と同じのが子宮っていう袋を準備してその中に赤ちゃんを大事に入れて、赤ちゃんがぶつからないように実はプールの中(羊水)に赤ちゃんを入れている」

毎日、世話を続けたトモの出産。教科書で学ぶより、身近に感じます。小屋には出産に向けカメラが設置され、24時間、生配信することに。そして、誕生の瞬間がやってきました。母親のヤギ・トモの出産予定日。いつもはおとなしいトモが落ち着かない様子。陣痛が始まったようです。日曜日ですが、子どもたちもかけつけました。

■PTA会長・坂木公祐さん
「出てきてる!先生!何か出てます!」
■先生
「もう出てきた?!」

これまでヤギの親子を育ててきた飼育スタッフも手伝います。破水から27分。

「一頭出ました」

待ちに待った赤ちゃんが生まれました!さらに…

「2匹目が出てきてるよ」

2匹とも元気な男の子です。

■児童
「生まれてよかった。ほっとした」

■保護者
「すごく子どもたちにもいい経験になったのではないかと思います」

そして…

■坂口静磨教諭
「無事生まれてきてくれて良かったです。動物を大事にする、生き物を大事にする命を大事にする気持ちを育てていきたいなと思います」

ヤギが教えてくれた命の尊さと力強さ。5匹のヤギと子どもたちの新たな生活が始まりました。ヤギの赤ちゃんの名前は子どもたちが考えたそうです。小学校の校名にちなんで「たくまくん」と「みなみくん」に決まりました。

最終更新日:2025年3月12日 21:20
熊本県民テレビのニュース