【映像企画】壊れて動かなくなったおもちゃをよみがえらせる!おもちゃドクターに密着
報道カメラマンの映像企画、熊本県内の「ただ一つ 今だけ」を紹介する「オンリーワン」。壊れたおもちゃをよみがえらせる熊本のおもちゃ病院のドクターに密着しました。
9月。熊本市東区の東部公民館。行列の先にあるのは…壊れたおもちゃを直す「おもちゃ病院」です。
この日持ち込まれたのは、夏休みに買ってもらったおもちゃ。動かなくなってしまいました。修理をするのは「おもちゃドクター」と呼ばれるボランティアです。
■修理を依頼した親子とおもちゃドクター
「動いたね よかったね」
「大丈夫?」
熊本市内の7か所で定期的に開かれる「おもちゃ病院」。無料で修理しています。おもちゃドクターのほとんどは、現役を引退したシニア世代。
■おもちゃドクター 沖正さん(72)
「ありがとうと言って、にこっと笑ってくれるのが楽しみ。それと、どんなおもちゃが来るのかが楽しみ」
■おもちゃドクター 野田正一郎さん(82)
「直った時の自分の喜び。子どもの喜びが報酬です」
亡き祖父が買ってくれたおもちゃも復活
この日集まったのは、熊本市南区の城南児童館です。
■修理するおもちゃを持ってきた親子
「スイッチの入りが悪い。動かない」
取り出したのはAMラジオ。送信機と同じ種類の電波を使っていることを利用して、電波が出ているかを調べます。
■おもちゃドクター 下田誠喜さん(67)
「電波が送信機から出ていない。送信機の故障じゃないでしょうか」
本体もドクターがチェックすると…。
■おもちゃドクター 下田誠喜さん(67)
「電池の容量不足ですね。半分くらいしか電池が入っていない」
■子ども
「うれしい」
■修理依頼したお父さん
「しっかり見ておけばよかったです(苦笑)」
■おもちゃドクター 服部秀幸さん(68)
「年配者が多いので、生きがい的な意味あいでも、何か社会とつながる活動をできればと思っている」
■修理を頼んでいたおもちゃを受け取りに来た白石優美子さん
「7、8年前に亡くなった私の父が、孫に買ってくれたおもちゃだったので。8年ぶりに生まれたので、この子の下の子におもちゃが使えればと思い出したら壊れていた。修理をお願いしたら直りました」
(修理が終わって)
■白石さんの息子 悠也さん
「いっしょだ」
おじいちゃんがプレゼントしてくれた大切なおもちゃ。
■白石さんの息子 悠也さん
「楽しい。おじいちゃんが買ってくれたものを、姿は見えないにしてもつながっているのかなと思います。大事に使っていければ、おじいちゃんも空で喜んでいてくれればとうれしい」
後日、直ったおもちゃで楽しそうに遊ぶ兄弟の映像が届きました。
魔法のようにおもちゃを直す専門医。その「完治率」は、なんと97.5%です!
修理の秘訣はとにかく触れること
その舞台裏にお邪魔すると…。
おもちゃドクターの1人、服部秀幸さん68歳。本やインターネットから修理のヒントを集めてきました。これまで8年間に、1000個以上のおもちゃをよみがえらせてきました。
■おもちゃドクター 服部秀幸さん(68)
「ここが開かないと、修理が…。あっそうか、これがキャップになっていますね」
おもちゃの数だけ壊れている部分もさまざま。
修理の秘訣は、とにかくたくさんのおもちゃに触れること。尽きない探求心がドクターの原動力です。
■おもちゃドクター 服部秀幸さん(68)
「これはこういう風に動くだろうと想像しながらやる。中にどんな部品があるか見極めて、こういう動作で動くきっかけを作るとか考えながら修理する」
おもちゃを修理することで、子どもたちの笑顔とものを大切にする心を守るおもちゃドクター。
■おもちゃドクター
「壊れたおもちゃ、私たちが直します!」
熊本県内には、16人のおもちゃドクターがいます。公務員や会社員など、様々な仕事を退職した人が中心だということです。
おもちゃ病院は、毎週土曜日に熊本市内7か所を巡回しているということです。