県庁の男性職員の育休取得が増えたワケ 共働き夫婦の「共育」と後押しする「制度」
熊本市に住む牧尾さん夫婦。生後2か月の長女を抱いてこの日は近くの公園までお散歩です。
■妻・牧尾ひかりさん(32)
「3人で散歩できると私たちも気分転換になって楽しいです」
2人とも熊本県職員。いま夫婦で「育休」を取得中です。4人家族の牧尾家。2歳の長男が生まれた時も2人で育休を取りました。
■妻・牧尾ひかりさん
「長男がいるので育休を取ってもらうと、下の子だけじゃなくて上の子にも余裕をもって接することができる。出産した後は子どもと向き合おうとしても授乳の問題とか不安になることが多いが、主人がいてくれるので家事を任せて子どもに集中できるのが一番いい」
亘さんも2回目の育休とあっておむつを替えるのも手慣れたもの。
■夫・牧尾恒さん
「子どもを育てていく中で自分を父親にさせてもらっているという気持ちがあってやっていくことで父親になっていく自分を感じた部分があった」
最近では、行政だけでなく民間企業でも男性の育休取得率は上昇傾向に。しかし国の目標には程遠いのが現状です。
熊本県の男性職員の取得率も2023年度は58.3%と2年で3.7倍に伸びましたが(21年度15.6%)全国平均(76.3%)とは大きな差があります。そこで熊本県が「育休文化の定着」に向けて打ち出したキーワードが「共育」です。
夫婦が協力しながら子育てをしてそれを職場が応援する、まさに『未来につながる働き方』を共に進めていこうというものです。その一環で牧尾さんも利用したのが2年前から県が始めた「ハッピーシェアウィークス」。女性の産後うつのリスクが高い出産後2か月以内に休暇や休業を14日以上取得して子どもを育てる喜びを夫婦で分かち合うという取り組みです。
今回、亘さんの育休は今年1月から3月末まで。この長期間の休みを後押ししたもう一つの制度があるといいます。亘さんが去年4月から働いている菊池市にある県北広域本部。所属する土木部用地第3課で紹介されたのが…。
■用地第3課・松下孝之課長
「1月から配属しているサポート職員さんです。牧尾さんがしていた仕事をしている」
育児休業サポート職員は今年度、県が初めて導入した制度。普段は他の事務所で働く職員が一定期間、亘さんの仕事の一部を担います。
実はこの用地第3課。熊本市と大分市を結ぶ中九州横断道路の整備などを目的に去年4月に新設されたばかり。忙しい毎日ですがそれでも松下さんは普段から育休の相談ができる雰囲気づくりを心掛けているといいます。
■用地第3課・松下孝之課長
「休んでいる間に職場に迷惑をかけないかなとか、 心配になることがあるそれを職場でサポートできることがあれば 男性に限らず育休を取りやすい 後押しになるのではないか」
■夫・牧尾恒さん
「職場には負担をかけていると思うが、それでも取ってもいいと言っていただいて育児を頑張ってくださいと言っていただいてありがたい。育休のすごくいい機会をいただいたので、これから出産子育てを経験していく次の世代の方々が同じ制度を使ってより働きやすいと思える環境を自分たちがつくっていきたい」