女子高校生が開発「飛ぶように売れる」ナシのハナシで地域創生へ
人吉市の高校生が、地元特産のナシを使ったお菓子を開発しました。「地元の食材」で「体に優しい」お菓子を作りたい。商品ができるまでに密着しました。
11月。創立100周年記念式典が行われる人吉高校。
「6個下さい」
「え!?6個もいいんですか!」
飛ぶように売れる、ある商品がありました。
■購入した生徒
「人吉感もあふれていて、すごくかわいい」
考案したのは2人の高校生です。
■那須日向子さん
「人吉球磨のことを自分たちが発信できたのがうれしい」
■片山玲菜さん
「みんなの反応が良くて、やってよかったと思った」
世界に一つだけのオリジナルスイーツ。完成までの日々を追いました。
10月中旬。人吉市の人気菓子店に、高校2年の那須日向子さんと片山玲菜さんの姿がありました。目的は商品開発です。
人吉高校では、5年前から地域の課題を見つけて解決することを目的にした授業が行われています。2人はその授業で、「地域創生」に着目しました。
■那須日向子さん
「人吉の食べ物を使って料理を作って、イベントを開催したいと思った」
■片山玲菜さん
「私はアレルギーを持っていて、食べたくても食べられないものが多い。私と同じように困っている人が人吉にもたくさんいると思う。その人たちが何か食べられるものはないかなと思った」
「地元の食材」で「体に優しい」お菓子を作れないかと考えた2人。9月、人吉市のケーキ店に1本の電話をかけました。
(高校生)「お菓子を作りたいので協力してもらえませんか」
(東さん)「えっ?」
Q先生はそのこと知っていた?
■那須日向子さん
「何も言わずに電話しました」
■ケーキ店のラッキーブランチ 東直樹さん
「何の話しよるか分からんかった。突然、子どもたちが電話をかけてきたので 面白いので聞こうって思って」
自ら行動した積極性に心を動かされた東さん。すぐに協力することを決めました。
11月6日、新商品の試作にやって来た2人。今回、東さんと話し合い、アレルギーの人でも食べられるように乳製品や卵、小麦粉を使わない「かるかん」を開発することに。
アクセントとして、フルーツ栽培が盛んな球磨郡錦町の特産のナシを選びました。ただ、かるかん作りは思いのほか大変です。山イモの生地に粘りがあるため、同じ重さで容器に入れる作業もひと苦労です。
(容器に生地を入れるとぴったり合う)
■ラッキーブランチ 東直樹さん
「良かったじゃん!」
生地の中に、ナシのあんを入れて、あとは蒸しあがるのを待つだけですが…。と、ここで気になったのがパッケージ。商品の名前は「梨ムスメ」。包装紙のデザインも2人で考えました。
Q絵は何を表している?
「梨と自分たち」
Q後ろの鳥居は?
「青井阿蘇神社。人吉といったら青井神社」
■ラッキーブランチ 東直樹さん
「本当夜遅くまで残ってしよっけん、部活の間抜けてきたり、本当大変やったと思うけど、それがのちのち自分たちがやったって記憶が残って、自信にもつながるけん、こういうことやったっていうのが1番大事」
そうこうしているうちに、かるかんが出来上がりました。
Q見てどう?
「白くてかわいい」
初めて作ったかるかんの味は?
■2人
「おいしいです」
「ナシの味がちゃんとしておいしい」
11月11日。この日開かれたのは、人吉高校の100周年を祝う式典。在校生や卒業生など約900人が集まったこの場所で、「梨ムスメ」を販売します。
そんな2人の晴れ舞台を応援するかのように、大勢の人がその瞬間を待っていました。
そして。
(梨ムスメ販売スタート)
■買いに来た人とのやり取り
「(6個下さい」
「え!?6個もいいんですか!」
■購入した高校生
「2人の途中経過とかもよく見ていて、頑張っていて応援していたので、6個も買っちゃいました。人吉感もあふれていて、すごくかわいいなと思った」
「すごくもちもちしていて、かんだ瞬間に、ふわっと香りがふわっとただよってくるような」
「ナシが中心に入っていて生地と合わさったとき良い感じの甘さです」
■購入した人
「最後の1個?じゃあ1個で」
なんと10分足らずで、用意していた200個が完売!すると会場に東さんの姿が。予想以上の売れ行きを聞いて、追加分を作って駆けつけてくれたのです。約2か月間、2人の頑張りを見守ってきた東さん。
■ラッキーブランチ 東直樹さん
「完売と聞いてほっとしている。売っている姿を見て感慨深いというか。すごく良い経験になったのではないかな」
地元の食材で作った誰でも食べられるお菓子で人吉球磨を盛り上げたい。
■那須日向子さん
「人吉球磨のことを自分たちが発信できたのがうれしいし、地域活性化につなげられたらいいなという思いが強くなった」
■片山玲菜さん
「たくさん考えて何回もやり直しをして良かった。みんなの反応が良くて、やってよかったと思った」
2人の思いは、「梨ムスメ」とともに、たくさんの人に届きました。