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【特集】墓参りが難しい人の選択肢に自然のなかで眠る「樹木葬」大間町普賢院

2024年6月6日 17:36
【特集】墓参りが難しい人の選択肢に自然のなかで眠る「樹木葬」大間町普賢院

みなさんは自分のお墓について考えたことはあるでしょうか。先祖代々守られてきたお墓も少子化などの影響で管理できる人が少なくなってきています。そんな中、供養のひとつとして「樹木葬」を選択する人が増えています。

木々の緑に囲まれ季節の花が静かに彩りを添える境内。大間町にある「おおま宿坊普賢院」です。境内の一角に思い思いのメッセージが書かれた石のプレートが並ぶ庭園のような場所が「樹木葬もみじの杜」です。

★おおま宿坊 普賢院 菊池雄大 院代
「この場所は山に囲まれ、すぐそこには海が広がり、風向きによっては潮風の香りを嗅ぐこともできます」

樹木葬は樹木を墓石の代わりにしたり普賢院のように花などが植えられた庭園のようにしたりと形態はさまざまです。普賢院では好きな言葉や絵などがデザインできる墓石のプレートとお寺に管理を任せる「永代供養」を合わせた費用がお墓に入る人数に応じて70万円から120万円ほど。13年間個人の墓で供養したあとは合葬墓に納骨します。2018年に始まってからこれまでに生前の契約を含めおよそ50基が購入されています。その背景にはお墓を守る後継者がいなくなることがあるようです。

★菊池雄大 院代
「お子様はいれど青森にはもういないご家庭の方もいらっしゃいますし、お子様を持たないという選択肢を選んだ方もいらっしゃるかと思いますが、先祖代々ではなく私たちで一区切りお子様で一区切り、お孫さんで一区切りそういった新しい形の供養というのが求められているのではないかと思います」

青森市に住む青山奈緒子さんです。

★青山奈緒子さん
「私の子どもの先がどうやってつながっていくのか、誰もお参りに来る人がいないお墓を目の当たりにしたので」

もともと大間町の出身で町内に家族のお墓がありましたが、2020年に墓じまいをして普賢院に遺骨を移し樹木葬にしました。

県の統計を見ると「墓じまい」など、遺骨を移す手続き「改葬」の数はこれまで1,000件未満の年が多かったものが、過去5年では1,000件を超える年が多くなってきています。

★青山奈緒子さん
「私たちの年代だとお墓を守っていく継承者がいない 悩んでいる人がまわりにたくさんいる」

普賢院にはここ数年で年間200件以上の相談が寄せられ、その多くは「墓じまい」の相談だということです。普賢院の樹木葬の契約者の8割は青森市や弘前市など大間町以外の人でなかには県外からの申し込みもあります。お布施を収める檀家制度を設けていないことのほかに宿坊を営んでいることもここを選ぶ理由のようです。

★青山奈緒子さん
「お墓参りにも来たいが帰ってくる実家がない ただこちらでは宿坊、宿泊施設も伴っているので 気持ち的には実家に帰ってきている感じご住職にもいつも『お帰りなさい」と言っていただいて『はい ただいま』という感じでこたえている」

★菊池雄大 院代
「このお寺は供養をしながらご自身のリフレッシュができる、そんなお寺をめざし樹木葬と宿坊を両立させて運営しています」

青山さんが亡くなったご両親を思う気持ちに変わりはありません。

★青山奈緒子さん
「こちらのご住職がよく言うのは お墓参りに来るだけが供養ではない『何かあったときに空を見上げてください お空に手を合わせてください』 そういうのもあって 自分には いまの条件としては適した場所 ほっとする場所だと思っています」

この日も鳥のさえずりが絶えない普賢院。生活の変化により供養のあり方も変化しています。

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