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渡り鳥の観察からニホンジカの調査まで…愛媛の自然守る人を育てる「西条自然学校」

2025年1月21日 18:00
渡り鳥の観察からニホンジカの調査まで…愛媛の自然守る人を育てる「西条自然学校」

地域福祉などの分野で貢献のあった個人や団体に贈られる南海放送賞。今年度の受賞者をシリーズで紹介しています。きょうは野生動植物の調査研究や自然保全活動などを行っている「西条自然学校」です。

去年12月、西条市内で開かれた自然観察会。地域を流れる川に生息する水草や越冬でお堀に飛来した渡り鳥などを観察しようと、市内などから親子連れらが参加しました。案内するのは、「西条自然学校」のスタッフです。

渡り鳥の説明をしていた山本貴仁さん。山本さんは、2012年にNPO法人「西条自然学校」を設立。県内を中心に、野生の動植物の調査や研究のほか、市民向けの勉強会などを開催し、自然を守る活動を行っています。

NPO法人「西条自然学校」山本貴仁理事長:
「もともと生き物が好きで、鳥やいろいろな生き物を観察したり、仕事としても生き物に関わっておりましたので、その中からさらにということで自然学校の活動を始めました」

石鎚山のふもとにある西条自然学校。愛媛の鳥獣害などを研究するスタッフや、草木染の体験などを通して植物について知ってもらおうと活動するスタッフなど、現在6人がそれぞれの専門知識や技術をいかして日々自然と向き合っています。

講師:
「特に日本のカブトムシは、頭の角が大きく伸びるのが特徴の一つになります」

月に1回開催している「夜の学校」です。239回目となるこの日のテーマは「カブトムシ」。集まった人たちは面河山岳博物館の職員から「カブトムシ」の種類や生態について学んでいました。自分たちが住む地域にどんな動植物がいるのか知ってもらう機会を作りたいとの思いから、夜の学校は20年前から続いています。

参加者:
「毎回面白くて学びがあって、聞いててわくわくする。帰り道もわくわくがずっと続くような素晴らしい話をいつも聞かせていただいています」

山本さん:
「こういうのがあったらシカです。これはけっこう新しいですね」

この日は、愛媛大学の職員や会のメンバーとともに、ニホンジカの痕跡などを調査します。

参加者:
「普通に見たらかわいいと思いますけど、害獣として被害がすごくあるということもわかったのでいろんな面から見て人間と共存するということが大切だなと感じました」

山本さん:
「まずはシカに関心を持っていただく。それからもっと進んでシカの痕跡がわかるようになって、分布の拡大状況が分かる人を増やすそういう状態を目指しています」

西条自然学校が、いま力を入れているのが“森の再生”です。

山本さん:
「木も水を吸わないと生きていけないので、土壌中の水分を吸い上げてしまうというのと、雨を葉で受け止めてしまって地表に届く雨が少なくなるというのがあって、川の水が減ったり地下水に影響があると言われているので、それを改善したい」

石鎚山系の山には、かつて植林されたスギやヒノキの人工林がそのままの状態で放置されています。“本来の森の姿に戻そう”。その思いで、伐採作業などを続けています。

野生動植物の調査研究、森林の保全活動と、地域の自然と向き合ってきた西条自然学校。

山本さん:
「一番は私たちの活動を理解してくださって、その活動を継続するためのスタッフが生まれてくるのを意識しながら、愛媛は海から山まであるんですけど、様々な自然が保たれるよう調査をしながら伝えていくという事を続けたいと思っています」

最終更新日:2025年1月21日 18:00
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